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♪ Das Rheingold「-序夜-ラインの黄金」

by hidepost, le 18 sept 2023

«2023~25年「ニーベルングの指輪」全4曲公演シリーズ»
作曲:Richard Wagner(ワーグナー1813~1883)
内容:全4夜の合計約15時間からなる超大作«ニーベルングの指輪»を、今シーズンと来シーズンに分けて2曲ずつ上演する。この«ニーベルングの指輪»は、作曲者が35歳 (1848年) から61歳にかけて北欧神話「エッダ」や「サガ」、ドイツ英雄叙事詩「ニーベルンゲンの歌」などを軸に独自の世界観を構築して台本を書き作曲した。有名なバイロイト歌劇場は、作曲者がまだ完成させないうちからこの«指輪»4部作を上演するために構想された。ライン川の乙女たちに守られている黄金を、地底人ニーベルング小人族アルベリヒが盗んで指輪を作り、神々の王ヴォータンが、巨人族兄弟に神殿を作らせた報酬のためにアルベリヒの指輪を奪うことが発端となる。アルベリヒは指輪に死の呪いをかけ、指輪を奪い合う巨人族の弟は兄を殺し、神々は完成した城に入場し、ライン川の底からは娘たちの嘆き声が聞こえ、この「序夜」は幕となる。
全1幕(切れ目なしの4場)ドイツ語

あらすじ

序奏:変ホ長調の主和音が持続し、ワーグナー自身がこれを「世界の揺籃の歌」と言い、世界の生成と変容を表現している。

第1場:ライン川の河底

ラインの3人の乙女(ソプラノ、メゾソプラノ、アルト)が、ライン川の黄金を守って泳いでいる。ニーベルング族の小人アルベリヒ(バリトン)は、美しいラインの乙女たちに言い寄るが、乙女たちは順番に彼を嘲弄する。憤るアルベリヒは追いかけるが、その時、陽光が差込んで河底に輝く黄金を見つける。あれは何かと尋ねるアルベリヒに、黄金の守護者であるラインの乙女たちは「女の愛を断念する者だけが黄金を手にして、その黄金で無限の権力を得て世界を支配する指環を造ることができるのだ」と、黄金の魔力について話す。アルベリヒは、「乙女たちに嘲笑された復讐に権力を得るのだ」と言って黄金を奪い、愛を呪う言葉を残して去る。乙女たちの嘆きの声が残る。

第2場:ライン河岸の山上

神々の長ヴォータン(バリトン)と妃フリッカ(メゾソプラノ)が、山上に新しくできた神々の居城が完成したのを見て喜ぶが、妃フリッカは、その城の代償に妹で美の女神フライアを差し出す契約であることを思い出し、ヴォータンの軽率さをなじる。そこに当の美の女神フライア(ソプラノ)が、城を完成させた巨人族のファーゾルト(バス)とその弟のファーフナー(バス)に追われて逃げ込んでくる。ヴォータンは「この契約は火の神ローゲが勧めたのだから何か考えがあるのだろう」と言っている所に、巨人族の兄弟が登場して城の完成を告げ、約束の報酬を求める。兄のファーゾルトは、単純にフライアを妻にと望み、弟のファーフナーは、フライアを奪うことで、彼女が栽培している«若返りのリンゴ»を食べている神々が滅び世界制覇ができると考えている。ヴォータンが「フライアの件は冗談だった」と渋るので、怒った巨人兄弟は力ずくでもと迫り、雷神ドンナー(バリトン)は槌を振り上げ立ち向かう。そこへ火の神ローゲ(テノール)が現れるので、ヴォータンは「お前が取り決めたこの契約の解決をせよ」というが、ローゲはとぼけて居直る。ローゲは、ニーベルング族アルベリヒがラインの黄金を奪い去ったことを神々に話し、ラインの乙女たちが黄金の指環を取り戻して欲しいと願っていることを伝える。ニーベルング族とは確執のある巨人兄弟は、財宝と黄金の指輪の話に惹かれ「黄金をフライアの代わりの報酬にせよ」と言い出すが、ヴォータンは、彼自身が世界を支配する黄金の指環を得たいと望みそれを拒否する。怒った巨人兄弟は、今夕まで待とうと、フライアを人質にして連れ去ってしまう。フライアの作る«若返りのリンゴ»が食べられなくなった神々は、もともとリンゴを得られなかったローゲを除いて若さを失い始める。ローゲは「アルベリヒに黄金の指輪を持たせておけば、いずれ神々の国も脅威にさらされる」と言い、意を決したヴォータンは、ローゲを伴って黄金の指輪を手に入れるために地下の国へ降りて行く。

第3場:地下の国ニーベルハイムの洞窟

アルベリヒはラインの黄金で指環を作り、その魔力でニーベルング族の小人たちの王となり、弟のミーメ(テノール)も奴隷になって働かされていた。ミーメは、兄アルベリヒの指示で造らされた黄金細工の魔法の隠れ頭巾を密かに盗もうとするが、アルベリヒに見つかり、むちで打たれる。アルベリヒは「この魔法の隠れ頭巾があるので誰も黄金は盗めないのだ」と奴隷たちを脅かして立ち去る。ヴォータンとローゲは、嘆くミーメからニーベルハイム地下国の様子や、黄金の指輪と隠れ頭巾の魔力について聞き出し、アルベリヒに近づく。アルベリヒは2人を警戒し「天上の神々が歓楽に耽っている間に、わしは暗黒の世界で権力を蓄えているのだ。女の愛などは諦めた。暗黒の軍勢が明るい世界に上ってゆく日も近いぞ」と自慢する。ローゲは悪知恵を出し、彼におだてられたアルベリヒは、魔法の隠れ頭巾の魔力を使って大蛇に化ける。次に小さいものにも変身できるかと問われ、カエルの姿になってみせたところをヴォータンが捕える。ヴォータンとローゲはアルベリヒを縛り上げ、一緒に天上の国へと上がって行く。

第4場:2場と同じライン河岸の山上

ヴォータンは、アルベリヒに命の代償に黄金の財宝をすべて出せと要求し、アルベリヒは仕方なくニーベルング族を使ってかき集めた財宝を差し出す。それでもアルベリヒは許されず、ローゲに魔法の隠れ頭巾を奪われ、ヴォータンからはラインの黄金の指環を無理やり取り上げられてしまう。やっと全ての縄を解かれたアルベリヒは、憎しみを込めて「この指輪をはめている者は人殺しの手にかかって死ぬ」と指輪に死の呪いをかけて去る。王の后フリッカ、幸福の神フロー(テノール)、雷神ドンナーが成り行きを案じて現れるが、財宝を見て安堵する。巨人兄弟が人質の美の神フライアを連れて現れ、ヴォータンにフライアの身の丈と同量の黄金を要求し、ローゲとフローがニーベルング族の黄金を積み上げていく。ローゲが隠れ頭巾を乗せてもまだ足りず、巨人兄弟はヴォータンがしている黄金の指環を隙間に入れろと要求する。ヴォータンはそれを断固拒絶し、神々も「指環はラインの乙女たちに還してやっては」と忠告するが取り合わない。その時、舞台が暗転し岩の裂け目から智の女神エルダ(アルト)が登場し、ヴォータンに「呪いのかかったその指輪を持っていれば身が破滅し、神々の世界にも終末が訪れる。過去も現在も未来も全て見える私の警告を聞くがよい」と告げ、去ってゆく。ヴォータンは暫く考え込むが、巨人兄弟に黄金の指輪を渡し、フライアを解放させる。財宝をすべて手に入れた巨人兄弟は、直ぐにその取り分をめぐって争い始め、ファーフナーは兄ファーゾルトを棍棒で打ち殺す。ヴォータンと神々は、アルベリヒが指輪にかけた死の呪いが早くも現れたことに衝撃を受ける。一同は悪夢を忘れようと 、雷神ドンナーに雷雲を呼び起こさせる。[ヴァルハラ城への神々の入城]の音楽が響く中、幸福の神フローが、完成した神々の城に虹の橋を架け、神々が入城してゆく。城にヴァルハラと名付けたヴォータンはその城の繁栄を願うが、火の神ローゲは神々の終焉を予測し「神々と一緒に滅びるよりはこれを食い物にしてやろう」と独白する。谷底からは、ラインの乙女たちが「地上にあるのは偽りばかり」と、黄金を失った嘆きの声が聞こえ、幕となる。