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♪ Tosca「トスカ」

by hidepost, le 4 mai 2021

作曲:Giacomo Puccini(プッチーニ1858~1924)

内容:1889年V. Sardouの戯曲「ラ・トスカ」を観劇して魅了されたプッチーニは、オペラ「ラ・ボエーム」作曲後に、後に「蝶々夫人」の台本も担当する同じ2人の台本作家L. IllicaとG. Giacosaとの共同制作で作曲する。2時間という短いオペラに、フィギュアスケートなどで誰もが1度は耳にした有名なアリアがあり、音楽とドラマが完璧に密着した必見の名作。3幕 イタリア語

あらすじ

第1幕

脱獄した政治犯アンジェロッティ(バス)が、彼の親族が礼拝堂を持つ教会にたどり着き、妹の侯爵夫人が隠しておいた鍵を探しだして礼拝堂に隠れる。そこへ教会の堂守(バリトン)に続いて、画家マリオ・カヴァラドッシ(テノール)が現れ、教会から注文された制作中のマグダラのマリアを描き始め、その青い目で金髪の女性と、ポケットに持っていた黒い瞳に茶色の髪の恋人トスカのメダルを見比べ、有名なアリア≪妙なる調和≫を歌う。同守が「昼食の籠は食べてませんね」と物欲しげに言って立ち去ると、隠れていた逃亡犯アンジェロッティが礼拝堂から現れ、旧友だったカヴァラドッシは彼の脱獄の事情を聞いて彼を助ける約束をする。その時外から恋人トスカが「マリオ」と呼ぶ声が聞こえるので、カヴァラドッシは自分の昼食をアンジェロッティに与えて再び礼拝堂に隠れさせる。有名な歌姫トスカ(ソプラノ)は、鍵が掛けられて他人の気配がしたので、もしや女性との密会かと嫉妬するが、カヴァラドッシは否定する。トスカは「今夜郊外の別荘に行こう」と誘い、2人は≪2人の愛の家へ≫を歌うが、彼女は帰り間際にカヴァラドッシの描く女性の顔を見てやはりと嫉妬する。カヴァラドッシはトスカを優しく慰め、今夜の別荘への約束をして彼女を帰す。

カヴァラドッシは隠れていたアンジェロッティを連れ出し、脱出の計画を相談する。しかしその時、アンジェロッティの脱獄が発覚したことを告げるサンタンジェロ城の砲声が響き、2人は驚き逃げる。堂守がナポレオンが敗退したニュースをカヴァラドッシに伝えに来たが誰もおらず、現れた神学生たちと神に感謝して≪テ・デウム≫を歌う。そこへ突然、ローマ警視総監スカルピア男爵(バリトン)が、密偵スポレッタ(テノール)と現れ一同は鎮まる。スカルピアは堂守を尋問し、彼が空になった昼食の籠を「カヴァラドッシは食べたくないと言っていた」と言うので、カヴァラドッシが脱獄犯に食事を与えたことを察する。そこへ、トスカが今夜宮廷で歌うことになり別荘に行けないことをカヴァラドッシに伝えるために戻ってきて、彼がいないので落ち着かない。スカルピアはトスカに近づき、落ちていた女性の扇をカヴァラドッシが女と逢引きしていた証拠だと見せ、怒ったトスカは教会を出てゆく。スカルピアは、密偵スポレッタにトスカの追跡を命じ、彼女に対する情熱的な恋心と、目指す男とトスカの2人ともを手に入れるのだと邪悪な心情のアリア≪行け、トスカ≫を歌う。

第2幕

スカルピアが公邸で夕食を摂る間、外からは戦勝祝賀会で歌うトスカの歌声が聞こえ、彼は部下にトスカを演奏会後に呼ぶように命じる。そこへ、スポレッタに拘束されたカヴァラドッシが連れてこられ、スカルピアはかろうじて逃げたアンジェロッティの居場所を尋問するが、彼は白状しない。業を煮やしたスカルピアは、カヴァラドッシを別室で拷問にかける。そこに現れたトスカは、恋人の苦痛のうめき声を聞かされ、ついに堪えきれずにアンジェロッティの隠れ場所をしゃべってしまう。カヴァラドッシが部屋に引き戻され、トスカが秘密を漏らしたことを激しくなじる。 そこへ伝令が、「ナポレオン敗退の報は誤報で、ナポレオンは大勝した」と伝え、カヴァラドッシは狂喜して動揺するスカルピアを罵倒し、激怒したスカルピアは彼を牢屋へ連行させる。トスカはスカルピアに彼の助命を乞うが、スカルピアは彼を自由にする代償として彼女の身体を求める。トスカは絶望し、何故このような過酷な運命を与えたのかと神に助けを求めて祈る有名なアリア≪歌に生き、愛に生き≫を歌う。スポレッタが現れて、見つかったアンジェロッティが自殺したことを告げ、カヴァラドッシの処遇を尋ねる。トスカがついに観念して自分の要求に応じると見て取ったスカルピアは、スポレッタにカヴァラドッシに見せかけの処刑を行うように命じる。トスカはスカルピアと2人になると、カヴァラドッシと一緒にイタリアを出国できるように、スカルピアに通行証を求め、彼がそれを書いている間に、食卓のナイフに気づきそれを隠し持つ。書き終えたスカルピアが「トスカ、とうとう我が物」と迫るところを、トスカは「これがトスカの接吻」と言って、彼の胸を刺す。息絶えた彼の手から通行証を奪うと、トスカは信心深く遺体の左右に燭台を置き、十字を切ってその場を去る。

第3幕

朝を告げる鐘の音と羊飼いの牧歌が聞こえ、夜明けの銃殺が決まったカヴァラドッシが処刑を待っている。彼は司祭との面会を断り、看守に指輪を与えてトスカに伝言を渡すように頼み、別れの手紙を書き始めるが、自らの死と恋人との別れを想うと絶望して泣き崩れ有名なアリア≪星も光りぬ≫を歌う。そこへトスカが現れ、驚くカヴァラドッシに通行証を見せ、これまでの出来事、処刑は空砲で見せかけであることを説明する。自分の助命と引き換えに身体を要求したスカルピアを、信心深く虫も殺せぬトスカが刺し殺したことを知ったカヴァラドッシは、彼女の手をとって「おおやさしい手よ」とトスカの愛情と勇気をたたえる。看守が処刑の時が来たことを告げ、トスカは刑場に赴くカヴァラドッシに「うまく倒れてね」と言い、彼も「劇場のトスカのように」と応じる。並んだ兵士たちが一斉に発砲し、カヴァラドッシは倒れ、トスカは彼の演技がうまいと褒める。隊長が規則通り剣でとどめを刺すのをスポレッタが制し、兵士一同去る。トスカはカヴァラドッシに近づき、逃げようと声を掛けるが、空砲の約束は嘘で、トスカは朱に染まって死んでいるカヴァラドッシを呼び泣き叫ぶ。そこに、スカルピアが殺されていることを知ったスポレッタが兵士と共に駆け寄り、彼女を殺人罪で逮捕しようとするが、トスカは処刑場の城壁から身を投げて幕となる。