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♪ Falstaff「ファルスタッフ」

by hidepost, le 16 oct 2020

作曲:Giuseppe Verdi(ヴェルディ1813~1901)

内容:引退を決め込んでいた76歳のヴェルディのもとに、前作「オテロ」の台本を書いたA.Boitoが、シェークスピアの戯曲「ヘンリー4世」の1部分と「ウィンザーの陽気な女房達」を素材とした台本を送り、ヴェルディが楽しんで作曲したイタリアオペラの金字塔ともいえる喜劇。 全3幕 イタリア語

あらすじ

第1幕
第1場
ガーター亭で大兵肥満のファルスタッフ(バリトン)が、2通の恋文を書き終えて、従者のバードルフォ(テノール)とピストーラ(バス)と共に酒を飲み始める。そこへ医者のカイウス(テノール)が「家の召使を殴った上に、馬を乗りつぶした」とファルスタッフと彼の従者たちの悪行を罵るが、かえって手玉に取られて追い返される。ファルスタッフは従者たちに2通の恋文を渡して、裕福なフォード夫人アリーチェとページ夫人メグに届けるように命ずるが、2人は「名誉がすたれる」と断るので、彼は小姓に持たせ、「何が名誉だ」と怒り2人を追い出す。

第2場
恋文を受け取ったアリーチェ(ソプラノ)は満更でもなく、クイックリー夫人(メゾソプラノ)とやってきたメグ(メゾソプラノ)に「この歳になっても恋文を受け取った」と言うと、メグも「私も」と恋文を出すので、交換して読んでみると宛名が違うだけの同筆同文。2人は絶対にファルスタッフを懲らしめようと復讐を誓う。一方ファルスタッフに追い出された
2人の従者は、腹いせにフォード(バリトン)に「ファルスタッフが夫人に恋文を送った」と告げ口するので、ファルスタッフに復讐を誓う女たちと男たちの重唱となり、その間をぬって、フォード家の娘ナンネッタ(ソプラノ)と恋人の紳士フェントン(テノール)の愛の2重唱が入る。

第2幕
第1場
2人の従者がファルスタッフに偽の侘びを入れてご機嫌を取っている所へ、クイックリー夫人がフォード夫人の使いとしてやってくる。彼女はフォード夫人アリーチェもファルスタッフを慕っている事、フォード氏は嫉妬深いが、毎日2時から3時迄は留守なので訪ねてきて欲しい事をまことしやかに伝えるので、ファルスタッフは大喜び。そこへフォード氏が偽名で現れ「フォード夫人を口説いているが貞操深くなびかないので、まず貴方が彼女を陥落させてくれれば」と金袋を見せて変な頼み事をする。ファルスタッフは「お安い御用。今日御主人の留守の間に彼女に会う約束がある」と金袋を受け取り、唖然としているフォードをよそに、めかし込んで出かけて行く。

第2場
フォード家ではクイックリー夫人の報告を聞いて、アリーチェとメグが ファルスタッフに対する作戦を立てて張り切っている。娘のナンネッタが「父親のフォードが医者カイウスと結婚するように命じた」としょんぼりしているので夫人たちは反対し、彼女を力づける。ファルスタッフがやってきて、アリーチェに愛を訴え、図に乗って彼女を抱きしめようとする所へ、作戦通りにクイックリー夫人が「メグが来た」と飛び込んで来るが、続いて「大変。フォードが戻ってきた」と告げるので、アリーチェは彼を屏風の陰に隠す。フェントン、カイウス、バードルフォ、ピストーラなどと現れたフォードは「間男を探せ」と大騒ぎするので、アリーチェは隙を見てファルスタッフを洗濯籠に押し込む。屏風の裏の接吻の音を聞きつけたフォードが、屏風を取り払うとそこにはナンネッタとフェントンの若い恋人たちが隠れていて、フォードは皆に再捜査を命じる。夫人たちは下男に命じて、ファルスタッフが入ったままの洗濯籠をテムズ河に捨てさせ大喜びする。

第3幕
第1場
ガーター亭の外。ずぶ濡れになったファルスタッフの所へ素知らぬ顔でクイックリー夫人が現れ「災難の埋め合わせのために、真夜中にウインザー公園のハーンの樫の木の下でお会いしたい。猟師の姿に扮装してきて欲しい」と書かれたフォード夫人からの手紙を渡し、初めは疑っていた彼も、行く事を約束する。その様子を陰で見ていたフォード夫人は、一同に今夜の計画を伝え、事の顛末を知ったフォード氏も妻に詫び、自分もその計画に参加すると言う。しかし同時に医者カイウスに妖精の女王に扮する事になった娘ナンネッタと今夜うまく結婚させてやろうと約束し、それをうまく聞きつけたクイックリー夫人が、ナンネッタと打ち合わせる。

第2場
深夜のウィンザー公園。昔、禁断の牡鹿を生け捕った罪で地獄に落ちた猟師ハーンの幽霊が、妖精を連れて現れるといういわれのあるハーンの樫の木がある。1番に来たフェントンが、ナンネッタを想う歌を歌い、続いて妖精の女王に扮したナンネッタとフォード夫人が現れ、フェントンにカイウスと同じ修道僧の衣装を与え、フォードの計画を潰す手配をする。真夜中の鐘がなり、ファルスタッフが現れフォード夫人に愛を訴え始めると、メグが「魔女たちがやってきた」と叫び、フォード夫人は逃げ、迷信深い彼は妖精を見ると命が無いと身を伏せる。妖精姿のナンネッタと妖精たちが現れ、ファルスタッフを取り囲んで小突き回すので、彼は泣き出すが、バードルフォが仮面を落として正体が判ってしまうと怒り出す。変装していないフォードが彼の前に立つと、ファルスタッフは以前フォード夫人の事で相談に来た友人だと思い助けを求めるが、実は当のフォード氏だと紹介されてすっかり謝ってしまう。フォードは「この楽しい夜の戯れを結婚式で結びたい」と1組のカップルを呼び出すが、仮装を取ってみると、それは娘ではなくバードルフォとカイウスで、フォード夫人がもう1組の結婚をと言って仮装を取らせたカップルが本物のナンネッタとフェントン。フォードも娘思いの夫人の機知を察してこれを許し、一同万歳を唱える。フォードとファルスタッフが握手をし、「道化こそ天賦の才。楽しみを知る者こそ賢い人」とファルスタッフが音頭を取り、「世の中は全て道化さ」と一同が合唱して幕となる。