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♪ Jeanne d’Arc au bûcher「火刑台上のジャンヌ・ダルク」

by hidepost, le 31 août 2019

作曲:Arthur Honegger(オネゲル1892~1955)
内容: フランスの詩人かつ外交官である、彫刻家カミーユ・クローデルの弟Paul Claudelの同名の詩に、作者の協力を得て作曲された劇的オラトリオ。主要登場人物は歌手ではなく役者で演じられ、またオーケストラには1928年にフランス人マルトノに発明されたオンド・マルトノという電気楽器も使用される。クローデルの素晴らしい台本に基づく、作曲者オネゲルの最高傑作で感動的な作品。 プロローグ付き全11場 フランス語

(オラトリオとは、日本語では聖譚曲(せいたんきょく)とも訳され、宗教的な題材による歌詞をもち、独唱、重唱、合唱、管弦楽のための総合的で大規模な音楽作品のこと。16世紀後半のローマで祈祷所(オラトリオ)での礼拝にこの種の音楽を用いた。)

あらすじ

プロローグ:100年戦争で英国軍に蹂躙(じゅうりん)されて国土が荒廃した15世紀のフランス。陰鬱(いんうつ)な響きの中から合唱が沸き起こり、うめきの中から「フランスを救い給え」という祈りが聞こえ、天の声が「ジャンヌという乙女がいた」と告げる。

第1場「天の声」:犬の遠吠えの混じる不気味な闇夜。ジャンヌを呼ぶ声が聞こえる。

第2場「一冊の書」:聖ドミニク(役者)が、ジャンヌの名を呼びながら現れ、ジャンヌ(役者)は、彼が聖ドミニクであることに気付く。彼は一冊の書を携え、それはジャンヌの一生をつづった書、神の御心に背いた者たちがジャンヌに不当な刑を与えるため虚偽の裁判をした記録で、字の読めないジャンヌは彼にそれを読んでくれるように頼む。

第3場「地の声」:地からは「魔女」「異端者」という彼女を罵倒する叫びが聞こえてくる。ジャンヌは怯え、自分の愛した人々が、今自分を火刑にしようとしていることが信じられない。聖ドミニクは「こうなったのは野獣の心性を持った者どもによって行われた裁判の結果である」と説明する。

第4場「野獣に委ねられたジャンヌ」:ファンファーレが鳴り、野獣たちによる裁判が開廷する。ジャンヌを裁く裁判長は豚、書記はロバ、陪審員は羊である。ジャンヌの証言はラテン語の訳が書記のロバによって改竄(かいざん)され、「魔女には死を」と火刑の判決が下される。

第5場「火刑台の柱に付けられたジャンヌ」:打ちひしがれたジャンヌは、暗闇の中で「魔女」「異端者」と罵る声を聞く。彼女は「自分は単なる羊飼いの娘に過ぎないのに、なぜこんなことに巻き込まれたのか」と聖ドミニクに尋ね、彼は「狂った王たちが考え出したトランプゲームのせいなのだ」と説明する。

第6場「王たち、またはトランプ遊びの考案」:伝令が4組の王と王妃の登場を告げる。フランス王と王妃“頓馬(とんま)”。イギリス王と王妃“驕慢(きょうまん)”。ブルゴーニュ候と王妃“貪欲”。死の王と王妃“淫乱”。

家臣たちが登場してゲームが始まる。3回のゲームでジャンヌの処遇が決定する。すなわち「魔女」をイギリス軍に渡し、火あぶりにするというもの。

第7場「聖カトリーヌと聖マルグリット」:弔鐘が聴こえ、2人の聖女、カトリーヌとマルグリットが現れ、「深い淵から」「御父、御母」を唱える。それを聴いてジャンヌはお告げを受け、神の命じるままに王太子をランスに連れてゆき、王国に勝利をもたらした過去を回想する。

第8場「ランスに向かう王」:粉ひきのウルトビーズの歌(風車=北フランス)と酒樽母さん(ワイン=南フランス)の登場で南北フランスの再統一が象徴され、民衆の弾んだ声が響く。浮かれる民衆を村の神父がさとし、クリスマス・イブで、しかも王がランスへ聖職授任のために向かうのだからと、ラテン語の聖歌を歌うよう導く。ランスへ向かう王が通り、ジャンヌは「王をランスに連れて行ったのは私だ」と喜びの声を上げるが、彼女を罵る叫びが聞こえる。

第9場「ジャンヌの剣」:聖マルグリットの「神の手に委ねよ」という声が聞こえ、ジャンヌは5月にノルマンディーで不思議な剣を与えられたことを思い出し、そのいきさつを聖ドミニクに語って聞かせる。そのサン・ミシェルから拝受した剣には誰も逆らうことができず、その剣の名は憎しみではなく愛であったのだと。話すジャンヌに力と喜びが満ちて来る。

第10場「トリマゾの懐かしい歌」:ジャンヌは、子どもたちが歌っていたトリマゾの歌を口ずさみ(役者のジャンヌが歌う)、死にゆく自分のために小さなお祈りをと求める。

第11場「炎の中のジャンヌ」:ジャンヌの死刑が執行され、彼女は火と死の恐怖に震えるがが「肉体は滅べど魂は永遠なり」という聖マリアの声が聞こえる。彼女が炎に包まれると、天から「神の娘よ来たれ」とジャンヌを天国に招く声が聞こえ、ジャンヌは彼女を縛る鎖を断ち切って炎の中で勝利を叫ぶ。合唱が「愛するもののために自分の命を犠牲にするほど大きな愛はありません」と歌い、静謐(せいひつ)な響きの中、幕となる。