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♪ La Gioconda「ラ・ジョコンダ」

by hidepost, le 1 déc 2018

作曲:Amilcare Ponchielli(ポンキエッリ1834~1886)

内容:作曲者ポンキエッリは、同時代で同国人のオペラ作曲家ヴェルディの陰に隠れてしまったが、ミラノ音楽院の作曲科教授でその門下にはプッチーニやマスカーニなどがいて、ヴェルディに続くロマン派歌劇を育てた。ヴィクトル・ユゴーの戯曲「パドヴァの暴君アンジェロ」を基に、A. Boitoが場所をヴェネチアに移して台本を書いた、美しく親しみやすいオペラ。2幕のテノールのアリア「空と海」や、3幕2場のバレエ音楽「時の踊り」は有名。
全4幕 イタリア語

あらすじ

第1幕「ライオンの口(密告書投函口)」

前奏曲が終わると、そこは17世紀のヴェネチア。祭りに伴いゴンドラ競漕があり、人々が合唱している。宗教裁判所の密偵で、流しの歌手に変装したバルナバ(バリトン)が、人々の騒ぎを冷ややかに見つめている。そこへ歌姫のジョコンダ(ソプラノ)が、盲目の母チエカ(アルト)の手を引いて現れる。ジョコンダは、母をそこに残して恋人のエンツォを探しに行こうとするが、彼女に横恋慕している密偵バルナバが言い寄り、彼女は振り切って逃げる。面白くないバルナバは、ゴンドラ競漕に負けて戻ってきた水夫に「お前が負けたのは、この盲目のチエカが呪いをかけたからだ」と言って人々を扇動(せんどう)する。人々が騒ぎ出し、そこへエンツォ(テノール、実は追放されている公爵)と一緒にジョコンダが戻り、母チエカを助けようとするが、「魔女を殺せ」と叫ぶ群衆の騒ぎを制しきれない。そこへヴェネチアの大貴族で宗教裁判所長官アルヴィーゼ(バス)が、黒い仮面をつけた妻ラウラ(メゾソプラノ)と現れ、ジョコンダは2人の前にひざまずいて「母を救ってください」と懇願する。ラウラはチエカの持つロザリオを見て「この様に信心深い人は魔女ではない」と夫に訴えるので、アルヴィーゼの独断で、チエカは許される。チエカはラウラに感謝して歌い、ロザリオを渡して「これが貴女に幸運をもたらすだろう」と告げる。一方ラウラの声を聞いたエンツォは、仮面をかぶっている彼女こそが自分の昔の恋人ラウラであることを知る。人々が去った後、エンツォとラウラを罠にかけることを思いついたバルナバがエンツォに近寄り、エンツォが実は追放中のグリマルド公爵であることを暴き、正体を見抜かれたエンツォは驚く。バルナバは、「俺はジョコンダを愛している。お前がラウラと逃げる気ならば手伝ってやる」と持ち掛け、エンツォは疑いながらも、今夜ラウラを船で待つと答えて去る。バルナバは公証人イゼポ(テノール)を呼んで「今夜、貴殿の奥方がエンツォと船で駆け落ちします」と口述して書かせ、宗教裁判所長官宛のその密告書をライオンの口に投函する。それを盗み聞いていたジョコンダは、エンツォの心変わりを知って愕然とする。

第2幕「ロザリオ」

漁師に変装したバルナバが公証人イゼポを従えて現れ、水夫たちと舟歌を歌う。そこにエンツォが現れ、水夫たちに自分が見張りをすると言って一人甲板に残り、ラウラを待ちながら有名なアリア≪空と海≫を歌う。バルナバの導きでラウラを乗せた小舟が到着し、エンツォとラウラは久々の再会に歓喜して愛の二重唱を歌う。それを遠目で見てほくそ笑むバルナバ。

エンツォが出帆の準備に船室に降りて行くと、ラウラは、自分たちの愛の航海の安全を聖母に祈る。そこに仮面をつけ隠れていたジョコンダが飛び出して、恋人を奪ったラウラに、激しい憎悪と嫉妬の念に満ちた言葉を浴びせる。ジョコンダは遂に短刀を抜きラウラを刺そうとするが、その時、密告を受けたアルヴィーゼの一行の船が近づいてくる。ラウラは聖母に祈りながらロザリオを高く掲げ、その見覚えのあるロザリオを見たジョコンダは驚き、相手が母の命の恩人であることを悟り、自分の名を名乗ってラウラを小舟で逃してやる。ジョコンダは、甲板に戻ってきたエンツォに「ラウラは後悔して帰ってしまった」と嘘を伝え、周りはアルヴィーゼの船に囲まれていると教える。陰謀に気付いたエンツォは、船に火を放ち海に飛び込んで逃げ、バルナバは計画が狂ったことを悔しがる。

第3幕「カ・ドーロ(黄金館)」

第1場 妻ラウラの不貞を知って彼女に死を選ばせることを決意した宗教裁判所長官のアルヴィーゼは、アリア≪彼女は死なねばならぬ≫を歌う。そこに呼ばれたラウラが現れ、アルヴィーゼは、彼女に棺台を示し、死を命じて毒薬の入った瓶を渡して出て行く。一方忍び込んでいたジョコンダがラウラに駆け寄り、毒薬の瓶を奪い取って、代わりに仮死状態になる秘薬を与える。ためらうラウラだったが、ようやく飲んで倒れるのを見たジョコンダは空瓶を移し替えて急いで出て行く。アルヴィーゼが現れて、妻が命令に従ったことに満足する。

第2場 隣の広間では大勢の客を迎えての舞踏会が開かれていて、有名なバレエ≪時の踊り≫が演奏される。バルナバは、館に忍び込んでラウラのために祈っていたジョコンダの母チエカを引っ立ててくる。その時、ラウラの死を告げる鐘が鳴る。仮面をつけて紛れ込んでいたエンツォは、仮面を捨てて自分の正体を明かし、自分の領土と恋人を奪ったアルヴィーゼに名乗りを上げる。騒然となる中、ジョコンダは、バルナバに「もしエンツォが捕まった後、彼を逃がしてくれたら自分の体を与える」と約束する。アルヴィーゼは、カーテンを開けて死の床にあるラウラを一同に見せ、殺したのは自分だと言う。エンツォは短剣を手にとってアルヴィーゼを刺そうとするが、衛兵たちに取り押さえられ、人々の叫びが入り混じる中、バルナバは秘かにチエカを連れ去る。

第4幕 「オルファノ運河」

荒れ果てた廃邸の一室で、独り佇むジョコンダ。そこへ2人の男が仮死状態のラウラを運び込み、ジョコンダは彼らに「母を探してほしい」と頼む。男たちが頷いて去った後、彼女は自分の悲運を嘆き、死を望みながら心揺れ動くアリア≪自殺≫を歌う。そこへエンツォが現れる。ジョコンダが、成功すればバルナバの愛を受け入れるという約束で、彼にエンツォを牢から救い出させたのだ。脱獄できてもラウラがいないこの世に意味はなく、自分もラウラの墓で死のうと言うエンツォに、ジョコンダは墓は空であるというと、エンツォは「嫉妬のために墓にまで復讐したのか」と彼女を殺そうとする。その時、仮死状態からラウラが目覚め、ジョコンダが救ってくれた経緯を話す。ようやく全てを悟ったエンツォは、ラウラとともに、ジョコンダに深く感謝し、彼女の用意した小舟に乗って去ってゆく。

1人残ったジョコンダのもとにバルナバが現れ、約束の履行を迫る。「約束は守る」と答えるジョコンダは、その直後短刀で胸を刺し自殺する。激怒したバルナバは「昨夜お前の母親を運河に沈めて殺した」と叫ぶが、もうジョコンダには聞こえない。バルナバの狂気の叫びとともに、悲劇の幕が降りる。