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♪ Die Zauberflöte「魔笛」

by hidepost, le 28 mai 2018

作曲:Wolfgang Amadeus Mozart(モーツァルト1756~1791)

内容:モーツァルトと親しかったウィーンの劇場支配人で役者のシカネーダー(1751~1812)が、モーツァルトの意見を取り入れながら台本を書き、作曲された歌芝居(ジングシュピール)。1791年9月30日にモーツァルト自身の指揮で初演されたが、彼は12月5日に亡くなってしまう。物語は、2人が所属したフリーメイソンの精神や象徴性と深い関係があるとされる。ソプラノ歌手の難曲アリア「夜の女王のアリア」は特に有名で、モーツァルトオペラの絶品。 2幕 ドイツ語

あらすじ:

第1幕
第1場  序曲に続いて、日本的狩衣を着た王子タミーノ(テノール)が、大蛇に襲われて気を失う。夜の女王の3人の侍女(3ソプラノ)が現れて大蛇を退治し、女王に報告に行く。そこへ女王の城に鳥を届けて暮らす鳥刺しのパパゲーノ(バリトン)が、笛を吹き陽気に歌いながら現れ、気がついたタミーノに、自分が大蛇を退治したのだと嘘をつく。3人の侍女が現れてパパゲーノに嘘をついた罰として彼の口に錠前をかけ、タミーノには、夜の女王の娘パミーナの肖像画を贈る。タミーノは「何と美しい」とアリアを歌い、パミーナに一目ぼれする。3人の侍女が「女王の娘パミーナはザラストロの神殿に捕われの身である」と説明すると、タミーノは彼女を救出しに行くと誓う。雷鳴とともに夜の女王(ソプラノ)が現れ、ザラストロにさらわれて娘を失った悲しみを歌い、彼に救出を依頼する。すぐにも出発するというタミーノに、口のきけないパパゲーノが「フムフム」言い、3人の侍女がパパゲーノの錠前を外してやる。そしてタミーノには魔法の笛、パパゲーノには銀の鈴を与え、パパゲーノにタミーノのお供をして行くように命じ、道案内は3人の童子がすると告げる。

第2場  ザラストロの神殿。奴隷たちが「奴隷頭のモノスタトスが、いつもパミーナを追い掛け回しているが、彼女は上手く逃げている」と噂話をしている。そこへ当のパミーナ(ソプラノ)が、ついにモノスタトス(テノール)に捕まって連れてこられ、彼に言い寄られ気を失ってしまう。モノスタトスが、奴隷たちを退場させた所にパパゲーノが登場し、2人は互いの奇妙な姿に驚き退散する。パミーナが気がついた所へパパゲーノが戻って来て、タミーノから預かった肖像画と見比べて、彼女が夜の女王の娘パミーナであることを確認し、彼女に「やがて王子タミーノが助けに来る」と告げる。

第3場  神聖な森の中、叡智、理性、自然の3つの神殿がある。3人の童子に導かれてタミーノが登場し扉を叩くと、弁者(バス)が現れ「ザラストロは悪者ではないこと、パミーナは生きていること」を告げる。喜んだタミーノが魔法の笛を吹くと、様々な動物たちが現れ、パパゲーノの笛も遠くからそれに呼応する。パミーナとパパゲーノは、タミーノの笛の音の方に行こうとするが、モノスタトスが2人を捕まえようとするので、パパゲーノが「万事休す」と魔法の鈴を鳴らすと、モノスタトスと部下は浮かれだして歌いながら退場する。祭司ザラストロ(バス)が、彼を称える合唱とともに登場。パミーナは、正直に逃亡しようとしたことを告白して、ザラストロは優しく諭す。そこへモノスタトスが、タミーノを捕えて来る。パミーナとタミーノは一目見て、互いに夢見た恋人だという事を認め合って抱擁する。モノスタトスは、ザラストロにタミーノこそがパミーナを奪って逃げようとした犯人だと偽るが、ザラストロは彼に鞭の刑を与え、パミーナとタミーノには「2人はまず試練を受けなければならない」と言い、2人にベールを被せ、合唱がザラストロを称える。

第2幕
第1場  ザラストロが、「タミーノが徳の高い若者となるように試練を与え、それを乗り越えた暁にはパミーナを妻として与えたい。そのためにパミーナを驕慢な母親から離して今迄ここに留めておいたのだ」と神官たちに理解を求め、一同は賛同する。

第2場 暗闇の中にタミーノとパパゲーノがいて、パパゲーノが怖がるのをタミーノがたしなめる。弁者が現れタミーノの決心を問い、彼は叡智の愛を得る為にはどんな試練にも耐える覚悟を告げる。自然人パパゲーノはたじろぐが、沈黙の試練に耐えれば若く美しい恋人パパゲーナが得られると約束される。2人の神官が「女の企みにご用心」と歌って去ると、夜の女王の3人の侍女が現れ話しかけるが、タミーノは沈黙を守り、話し出したパパゲーノをたしなめる。雷鳴が鳴り侍女たちは消え失せ、パパゲーノは気絶する。弁者がタミーノを褒め第2の試練へと導き、起こされたパパゲーノも不平を言いながら同行する。

第3場 眠っているパミーナにモノスタトスが近づいて「黒人が白人に恋してはいけないだろうか」と反問していると、夜の女王が現れるので隠れる。夜の女王は「かつて夫が支配していた太陽の世界をとり戻すためにザラストロを殺し復讐せよ」とパミーナに命じ、短剣を渡して退場する。モノスタトスが「自分を好きにならなければ、今聞いた事をザラストロに密告する」と脅すが、そこへザラストロが現れ、モノスタトスを一喝し退場させる。「母を許して欲しい」と言うパミーナに、ザラストロは「人間には復讐よりも愛が必要なのだ」と歌う。

第4場 弁者に導かれたタミーノとパパゲーノは、再度沈黙の試練を言い渡されるが、パパゲーノは黙っていられずタミーノにたしなめられる。水も無いのかと言うパパゲーノに1人の老婆が現れ、彼に水を差し出して「私の年齢は18歳と2分。私の恋人の名前はパパゲーノ」と言い消える。3人の童子(3ソプラノ)が、空中船に乗って現れて、タミーノに魔法の笛、パパゲーノに銀の鈴を返し、ご馳走を与えて沈黙を続ける様に励ます。パパゲーノは早速食べ始めるが、タミーノは静かに笛を吹く。その音を聞いてパミーナが駆けつけるが、タミーノは口をきかない。パミーナはパパゲーノに理由を尋ねるが、パパゲーノも何も答えないので、彼女は絶望して悲しんで去る。角笛が3度聞こえ、タミーノが一緒に来るように身振りで命ずるが、パパゲーノは食べるのに夢中で動かない。すると獅子が現れるので、パパゲーノはタミーノに助けを求め、彼は魔法の笛を吹いて獅子を退け、パパゲーノを連れて次の試練へと向かう。

第5場 ザラストロと神官たちが、試練に合格したタミーノを褒め、次の「火と水の試練」を課すと告げる。試練を受けるために出発するタミーノに、パミーナを呼んで別れを惜しむ時間を与え、2人は別々の道へと別れて行く。タミーノを探しているパパゲーノが、雷鳴に泣き出してしまうと、弁者が現れ「お前は浄められた者たちの喜びを味わう事はないだろう」と告げるが、彼は「一杯のワインさえあればご機嫌さ」と言う。ワインで陽気になったパパゲーノが「これで恋人でもあれば」と歌うと、先程の老婆が現れ「私に愛を誓わないとこれっきり女運はないよ」と脅すので、彼がやむなく手を握った途端、老婆は彼と同じ鳥の姿をした美しいパパゲーナ(ソプラノ)に変身する。喜んで彼女を抱擁しようとするパパゲーノを弁者が止め、パパゲーナを連れ去る。

第6場 3人の童子が、嘆き悲しむあまり自殺しようとするパミーナを心配して「タミーノは貴方だけを愛している」と教え、彼女を試練の場へ連れて行く。

第7場 鎧を着けた2人の男(テノール、バス)が「火と水の試練を克服した者だけが浄められる」と歌う。タミーノが試練に立ち向かおうとすると、パミーナが現れ2人は抱擁し合い、鎧の男たちは2人で試練を受けることを許す。パミーナが「父の作った魔法の笛を吹いて」と言い、2人は無事に試練を克服し、神官たちは2人を讃える。

第8場 自分の笛を吹いてパパゲーナを呼んでも彼女が現れないので、絶望したパパゲーノは首を吊ろうとするが、3人の童子が「鈴を振りなさい」と教える。振った途端パパゲーナが現れ、2人の喜びの2重唱「Pa,Pa,Pa」となる。モノスタトスに案内された夜の女王と3人の侍女が最後の復讐を試みるが、逆に滅ぼされる。太陽を称えるザラストロ、タミーノ、パミーナが現れて、神官たちの浄められた者たちを祝福する大合唱で幕となる。