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♪ Il Ritorno d’Ulisse in Patria「ウリッセの故国への帰還」

by hidepost, le 21 nov 2016

作曲:Claudio Monteverdi(モンテヴェルディ1567~1643)

内容:ホメロスの叙事詩「ユリッシーズ」の最後の12章を原作に、G. Badoaroが台本を書いた。ホメロスの叙事詩の哀愁、愛欲、道化、活劇などの場面が美しく書かれた音楽ドラマ。 1640年に、世界で初めて一般市民が入場料を払って楽しむオペラ劇場が誕生したヴェネツィアTeatro San Cassianoでの上演のために、世界最初のオペラの巨匠・モンテヴェルディが遺した神話物語。プロローグ付き3幕 イタリア語

あらすじの要約:

トロイ戦争に行ったまま帰って来ない夫ウリッセ(テノール)を 待ちわびる妻ペネローペ(ソプラノ)。海神ネプチューン(バス)を怒らせたウリッセだが、女神に助けられて 老人の姿になって自国にたどり着き、息子テレーマコ(テノール)にも再会出来る。ペネローペの侍女メラントー(ソプラノ)は しきりに再婚を勧めるが、ペネローペは受付けず、大勢の求婚者たちは彼女に付きまとう。ペネローぺが 求婚者たちに「夫ウリッセの弓で一番遠くまで矢を射た者の妻になる」と言うが、誰も その弓を引く事が出来ない。そこへ 老人姿のウリッセが 試したいと言い、彼はその弓で 求婚者たちを射殺してしまう。ウリッセの名を偽って王国を得ようとする者ではないかと疑うペネローぺは、なかなか彼が本当に自分の夫である事を 信じられないが、最後には ユリッセの言葉に納得して 2人は久しい再会を喜び 幕となる。

あらすじ:

プロローグ
「人間の弱さ」(メゾソプラノ)が、人間は時、運、愛に左右される弱いものだと歌い、「時」(バス)、「幸運」(ソプラノ)、「愛」(ボーイソプラノ)が、それぞれの力を自慢して、物語の始まりを告げる。

第1幕

ウリッセの王宮で、ウリッセの貞節な妻ペネローペ(ソプラノ)が、トロイ戦争に出征したまま帰らない夫ウリッセの不在を嘆き、乳母のエリクレア(メゾソプラノ)に慰められる。ペネローペは、戻らない夫の身を案じながら、多くの求婚者に囲まれ、盛んに再婚を促されていた。求婚者の1人のエウリマコ(テノール)と密会している侍女のメラントー(ソプラノ)は、ペネローペに再婚を勧めている。
ウリッセは、トロイ戦争出征中に海神ネプチューンの息子である一つ目の巨人を殺したために、海神の怒りをかって幾多の苦難に遭遇していた。それでもウリッセは帰還を諦めずに、ついに故郷の島イタカに流れ着き、そこで羊飼いに姿を変えた女神ミネルヴァ(ソプラノ)に出会う。ミネルヴァはウリッセに、ペネローペにまとわりつく求婚者たちを退治するように言い、彼を老人の姿に変え、かつてウリッセに忠実だった老羊飼いエウメーテのもとへ行くようにと言う。さらに、生き別れになっていたウリッセの息子テレーマコをスパルタから連れ戻してくると約束し、ウリッセは自分の幸運を喜ぶ。老人の姿のウリッセは、老羊飼いエウメーテ(バス)の所に行き、一夜の宿を求め、エウメーテは快く迎え入れる。

第2幕

女神ミネルヴァが、老羊飼いエウメーテと老人の姿のウリッセの所に、ウリッセの息子テレーマコ(テノール)を約束通り連れてくる。エウメーテは、母のペネローペに、息子テレーマコの帰還を知らせるために王宮に向かう。その間に天から閃光が届いてウリッセは元の姿に戻り、父子は感動的な再会を果たす。王宮で、求婚者に取りまかれたペネローペに、羊飼いエウメーテが息子テレーマコの帰還を告げ、ウリッセも間もなく戻るだろうと告げる。しかし彼女は、不確かな噂は私の哀しみを増すだけだと言い残して去る。
ウリッセが王宮に向かう途中の森の中で、女神ミネルヴァが現れ、王宮で妻ペネローペの再婚相手選びの競技会が開かれると教える。
ペネローペが、スパルタから戻った息子を迎え話しているところに、羊飼いエウメーテが、老いた乞食姿のウリッセを連れてくる。ペネローペは、ウリッセの大弓を取り出すと「これで最も遠くに矢を射た者の妻になる」と宣言する。求婚者たちが試みるがいずれも失敗し、最後に残った老人姿のウリッセが進み出て軽々と弓をひき、求婚者たちを次々と射殺してしまう。

第3幕

呆然とするペネローペに、老羊飼いエウメーテが「あの老人こそウリッセなのだ」と告げるが、彼女は信じようとしない。息子のテレーマコも、女神ミネルヴァが父の姿を変えたのだと言うが、彼女は「女神が人間にそのようなことはしない」と信じない。
ジュピター大神の妻ジュノーネ(メゾソプラノ)の取りはからいで、海神ネプチューンがウリッセを許し、イタカの島に平和をもたらすよう命じ、ウリッセは無事元の姿に戻る。

しかし、ペネローペは、元の姿に戻ったウリッセを見ても、これはまた魔術であろうと疑い「ウリッセの名を偽って王国を得ようとした者は他にもいる」と言う。ウリッセは「我々の寝室のベッドカバーは、ペネローペが刺繍した月の女神の模様だ」と言い、その言葉に、ついにぺネローペが彼が本当の夫ウリッセだと認め、2人は長く久しい再会をと「憧れの我が太陽」を歌って喜び、幕となる。