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♪ Aida「アイーダ」

by hidepost, le 24 oct 2016

作曲:Giuseppe Verdi(ヴェルディ1813~1901)

内容:エジプトの総監イスマイール・バシャが、、ヨーロッパの大作曲家による、エジプトを舞台とした荘厳な新作オペラを、自分が統治するカイロのオペラ劇場で上演したいという希望で依頼し、エジプト考古学者オーギュスト・マリネットの原案「エジプトを舞台にした物語」を基に、カミーユ・ドゥ・ロークルなどが台本を作成した。始めは乗り気でなかったヴェルディだが、「メンフィス神殿」の発掘時、地下牢から発見された男女の遺体から発展したドラマに気をひかれて作曲し、ファラオ時代のエジプトとエチオピアの2国に引き裂かれた悲恋を描いた、世界中で多く公演されるオペラ。 4幕 イタリア語

あらすじ

第1幕第1場

エジプトの祭司長ランフィス(バス)が、「エチオピア軍が、ナイル渓谷まで攻めて来た。 エジプトの神イージスの御神託は、ラダメスがこれを迎撃するように命じた」と、将軍ラダメス(テノール)に神託を伝えて去る。 ラダメスは有名な『清きアイーダ』を歌い、出征する任務の重大さと、愛するアイーダとの別離の悲しみとを語る。そこへエジプト王女アムネリス(メゾソプラノ)が来て、恋するラダメスが、アイーダを愛している事に気付いて嫉妬する。そこへ、エチオピアの王女だがアムネリスの奴隷となっているアイーダ(ソプラノ)が登場し、アムネリスはアイーダに、ラダメスについてのさぐりを入れる。エジプト王(バス)、司祭長ランフィスなどが人々と登場し、使者が「エチオピア軍がエジプト領を侵略した」と告げる。王はラダメスにエチオピア討伐を命じ、人々が 興奮する中、王女アムネリスが、ラダメスに軍旗を与え「勝って帰れ」と告げる。一人残ったアイーダは、自分の父エチオピア王と恋人ラダメスが戦う事になった運命を悲しみ、神に祈る。

第2場

ランフィスや祭司たちが並び、巫女(みこ)たちの合唱が流れ、出陣の儀式が始まる。ランフィスが武装したラダメスにヴェールと剣を与え、神の前で武運長久を祈る。

第2幕第1場

アムネリスが凱旋祝賀式のための化粧をしている。そこへ、アイーダが月桂冠を持ってくるのを見てアムネリスは、「お前の祖国は敗戦し、ラダメスは死んだ」と嘘を言い、アイーダのラダメスへの気持を探る。悲しむアイーダを見たアムネリスは「今の言葉は嘘だが、ラダメスはエジプト王女である私のもの」と叫び去り、アイーダは神に祈る。

第2 場

凱旋に沸く群集の中、王が祭司、大臣などを従え王座につき、アムネリスがその横に座る。群集が神を称える合唱を歌い、侍女たちの『勝利の人に月桂冠を飾ろう』が歌われ、続いて祭司が合唱する。有名な“アイーダトランペットマーチ”で凱旋戦士たちが登場し、最後にラダメスが現れる。王がラダメスの労をねぎらい、アムネリスが月桂冠を授ける。王が「汝の望むものを与える」と言うと、ラダメスは「エチオピア人の捕虜たちをここへ」と答えて捕虜が連れてこられる。その中にアイーダの父エチオピア王アモナスロ(バリトン)がいるのをアイーダが見つけ、「お父様」と駆け寄るが、アモナスロは「身分を明かしてはならぬ」と言ってアイーダの口を封じ、王に向かって「エチオピア王は戦死したが、運命は明日にも逆転するであろう」と昂然と叫ぶ。祭司たちが「皆殺しだ」と叫ぶ中、アイーダの切なる願いを聞いたラダメスは、王に捕虜の釈放を願い出る。王は、アイーダの父のみを人質にして残し、やむなく他の捕虜は釈放する。そして、ラダメスに「アムネリスを妃としてエジプトを治めよ」と命じ、一同が歓声をあげる。驚き悲しむアイーダを、父アモナスロが慰める。

第3幕

ナイル河の川辺、神殿から祭司たちの祈りの歌が聞こえる。ランフィスがアムネリスに「結婚の前夜、夜が明けるまで祈りなさい」と告げ、共に神殿に入る。アイーダが来て、ここで密かにラダメスに会い、もし彼の心がアムネリスに移っているのならば、自分はナイルに身を投げようと『我が故郷』を歌う。そこへ、思いがけず父アモナスロが来て「エチオピア軍は戦う準備が出来た。エジプト軍がどの間道を通るかを知っているのは、お前を愛しているラダメスだ。祖国のために探り出せ」と命じて隠れる。ラダメスが登場し、愛するのはアイーダだけだと言うが、アイーダは退けてしまう。ラダメスは「エチオピアが再び兵を挙げたので、その征討に行く。勝利の暁には我々の仲を王に願い出よう」とアイーダに言うと、彼女は「それよりも二人で誰も居ない間道を通って逃げ、新天地で生活しましょう」と巧みに探る。ラメダスが「それでは兵を配置していないナパタの谷を通って」と言うや否や、隠れていたアモナスロが、「ではエチオピア軍をナパタに向かわせよう」と飛び出して来る。ラダメスは祖国を裏切った事に気づくが、アモナスロは彼に「エチオピアの王、そしてアイーダの夫として迎えよう」と誘う。神殿からいきさつを見ていたランフィスやアムネリスが、兵を連れて駆けつけ、アモナスロはアムネリスに短刀を突きつけるが、ラダメスがそれを遮り、アイーダ父娘を逃がして、自分はランフィスの前に剣を捨てて跪(ひざまず)く。

第4幕第1場

アムネリスは、愛するラダメスの裏切りを深く悩み「もしラダメスがアイーダを忘れるならば死罪から救おう」と、監禁されているラダメスを連れてこさせる。アムネリスは「アモナスロは戦死したが、アイーダの行方は未だに不明だ」と、ラダメスにアイーダを諦めさせ翻意を求めるが、ラダメスは「私はアイーダを愛するあまりに祖国を裏切ってしまった」と死の覚悟を変えない。アムネリスが泣き伏す横を、ランフィスが祭司を連れ地下牢に降りて行き、「敵と通じた罪により、祭壇下に生き埋めにする」とラダメスに宣告する。アムネリスは許しを乞うが、ランフィスは「彼は裏切り者だ」と耳を貸さない。

第2場

祭壇下の地下牢でラダメスが「運命の石が閉ざされた」と呟いている時、ラダメスの刑をあらかじめ予想して潜んでいたアイーダが現れる。ラダメスは石の扉を開けようとするが力尽き、二人は天国で結ばれることを喜び「自分たちのための新天地が開き、永遠の世界へ飛び去ってゆく」と歌う。神殿では巫女たちの合唱を背景に、アムネリスのイージスの神への祈りの歌が響き、静かに幕となる。