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♪Madama Butterfly 「蝶々夫人」

by hidepost, le 2 oct 2016

作曲:Giacomo Puccini(プッチーニ1858~1924)

内容:アメリカ人J. L. Longの短編小説を、同国人D. Belascoが戯曲化し、ロンドンでそれを観劇したプッチーニが、イタリア人L. IllicaとG. Giacosaに台本を依頼してオペラ化した。プッチーニは当時の日本大使夫人の助言や、日本の旋律を収集して、当時のジャポニスムを反映させた。1904年のミラノ・スカラ座での初演は失敗したが、その後改訂され、日本を始め、全世界で親しまれている。蝶々夫人役のソプラノは、低音が多く出番が多いためソプラノ殺しとして有名。 3幕(1幕と2幕2場) イタリア語

あらすじ:

第1幕

アメリカ海軍士官のピンカートン(テノール)は、結婚仲介人ゴロー(テノール)の斡旋によって、若い芸者蝶々さんと結婚することになり、長崎の港を見下ろす丘にある新居や、女中のスズキ(メゾソプラノ)や下男などを紹介される。そこへ 結婚式に招かれた長崎駐在アメリカ領事シャープレス(バリトン)が到着。ピンカートンはアリア「ヤンキーは世界のどこへ行っても」を歌い、どこの国でも美人を手に入れると語り、シャープレスはピンカートンの行為は軽率だと忠告するが、彼は「この結婚も一時の愛だ」とシャープレスの危惧を一笑に付す。

そこへ蝶々さん(ソプラノ)が、芸者仲間とともに幸福を歌いながら現れる。シャープレスが、可憐なこの15歳の少女に身の上を問うと、彼女は実家は大村の没落士族であると答え、父が切腹した時の形見の短刀を披露する。一時座がしらけてしまうが、ゴローによって結婚式の準備が進められる。蝶々さんは、そっとピンカートンに「家族や僧侶である叔父に内緒でキリスト教に改宗した」と告げる。 三々九度などの一連の婚礼儀式が終わり、領事や神官は帰って行き、一同が祝いの酒を酌み交わすと、蝶々さんの叔父の僧侶ボンゾ(バス)が現れる。彼は 蝶々さんの改宗を怒ってきつく詰問するが、ピンカートンに追い払われる。蝶々さんの改宗を知った一同もボンゾに従って遠ざかって行く。泣き崩れる蝶々さんを慰めるピンカートン。2人は愛の二重唱「可愛がってくださいね」を歌う。

第2幕

結婚式から3年が過ぎ、任務が終わったピンカートンはアメリカに帰ってしまっていた。蝶々さんに忠実な女中のスズキは、蝶々さんの悲しみが除かれるようにと祈り、それを聞いた蝶々さんは「日本の神様に祈っても無駄よ」と言い、ピンカートンが置いていったお金もあとわずかになったと話し合う。スズキは彼はもう帰ってこないのではと疑い、蝶々さんにとがめられる。ピンカートンを信じる蝶々さんは「彼は駒鳥が巣を作るころに帰ると言った」と、 涙ぐむスズキに同意を求め、有名なアリア「ある晴れた日に」を歌う。そこへ領事シャープレスとゴローが、ピンカートンからの手紙を持って現れる。シャープレスは、ピンカートンがアメリカ本国でアメリカ人女性と結婚したことを、本人の代わりに蝶々さんに告げることになっていた。蝶々さんはピンカートンの手紙と聞いて喜んではしゃぎ「駒鳥はいつ巣を作るのか」と聞いて領事を困らせる。そこへ裕福な山鳥公爵(バリトン)がゴローの案内でやって来る。山鳥公爵は蝶々さんに結婚を申し出るが、夫からの手紙に喜んでいる蝶々さんはそれを拒否する。ゴローが、蝶々さんは遺棄離婚された妻であると言いかけると、蝶々さんは「それは日本の習慣に過ぎない。今の私はアメリカ人である」と言い放つ。ゴローと山鳥公爵が すごすごと帰ってしまうと、シャープレスは手紙を取り出し、蝶々さんと二重唱「友よ、見つけて」を歌う。シャープレスは、純情な蝶々さんに、ピンカートンの手紙をそのまま読むことが出来ずついに手紙をしまい、彼が帰ってこなければどうするのかと問う。蝶々さんは「芸者に戻るか、自刃するしかない」と答え、困惑したシャープレスが「山鳥公爵の申し出を受けてはどうか」と勧めると、「あなたまでがそんなことを言うのか」と怒り、家の奥からピンカートンとの子どもを 抱いてくる。蝶々さんは「この子が待っていると伝えて」と頼み、子どものために芸者に戻るよりは死を選ぶと嘆き悲しむ。もらい泣きしたシャープレスは、ピンカートンに伝えると約束し、いたたまれず去ってゆく。

スズキが、蝶々さんの悪評を拡げようとするゴローを捕まえ、怒った蝶々さんは短刀を振り上げてゴローを追い出す。その時、アメリカ海軍の軍艦の入港を告げる礼砲が響き、それを望遠鏡で見た蝶々さんは「私の愛の勝利」と喜び、スズキと部屋中に飾る花を摘み、二重唱「桜の枝を揺さぶって」を歌う。彼女は思い出の婚礼衣装を着、子どもにも盛装させ、穴を開けた障子を覗いてピンカートンの帰りを待つ。静かな夜が訪れ、美しいハミングコーラスが聞こえる中、スズキと子どもは眠りに落ち、独り蝶々さんが外を見守っている。

第3幕

夜が明けた蝶々さんの家。目覚めたスズキは、夜明かしして待った蝶々さんの側に子どもを連れて行き、休息を勧める。そこへ、ピンカートンとシャープレスが登場し、スズキは「蝶々さんは3年間毎日入港する軍艦を見てピンカートンの帰りを待ち、昨晩は部屋中に花を飾って眠らずに待っていた」と告げる。スズキは庭にいる外国人の女性に気づき、シャープレスが意を決して、それがピンカートンの妻ケイト(メゾソプラノ)で、蝶々さんの子どもを引き取りたいと希望していると、スズキに協力を求める。あまりに蝶々さんが可哀想と涙ぐむスズキ、罪悪感に打ちひしがれたピンカートン、彼を非難するシャープレスの三人三様の三重唱。ピンカートンは、心の痛みに耐えかねて、アリア「さらば愛の巣」を歌い足早に去って行く。スズキは、はじめは猛烈に怒っていたが、シャープレスから、蝶々さんが子どもを渡してくれれば、ピンカートンの妻ケイトがその子を養育するということを聞き、説き伏せられてしまう。

蝶々さんが、ピンカートンと会えると思って目を輝かせて登場する。しかしピンカートンの代わりに、彼のアメリカでの妻ケイトと対面させられて大体のことを悟る。シャープレスに「子どもの幸福のために、坊やを婦人に渡すように」と説かれ、蝶々さんは、悲嘆にくれながらも礼儀正しくケイトを祝福し、子どもをピンカートン自身に渡すことを約束する。そしてスズキに家の障子を全部閉めさせて一人になり、障子越しに侍るスズキに「子どもを外で遊ばせるように」と命じて下がらせる。蝶々さんは、父の遺品の短刀を取り出し「恥に生きるよりは、名誉のために死なん」の銘を読み自刃しようとするが、そこへ子どもが走ってくる。蝶々さんはわが子を抱きしめ、アリア「さようなら坊や」を歌い、子どもに目隠しをして日米の国旗を持たせ、短刀を自分の喉に突き立てる。ピンカートンとシャープレスが駆けつけて来るが、蝶々さんは子どもに手を差し伸べて息絶え、幕となる。