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♪Macbeth「マクベス」

by hidepost, le 16 mai 2016

作曲:Giuseppe Verdi(ヴェルディ1813~1901)

内容:ヴェルディは生涯シェイクスピアの戯曲に興味を持ち、これはその第1作目で、F. M. PiaveとA. Maffeiが共同で台本を書いた。シェイクスピア悲劇の暗さを良く出した名作。4幕 イタリア語

あらすじ

第1幕

ダンカン王統治のスコットランド。バグパイプの響きを模した旋律で幕が上がり、森の中の不気味な魔女たちの合唱の中、ダンカン王軍の将軍マクベス(バリトン)と総監バンコ-(バス)が現れる。魔女はマクベスに「お前はまずコーダーの領主になり、そしてスコットランドの王になる」、バンコーには「お前の子孫が王位につくだろう」と予言して消える。そこへ使者が来て、マクベスがコーダーの領主に任命された事を告げるので、2人は予言が当たった事に驚き、マクベスの心には野心が燃え上がる。マクベスの城では、マクベス夫人(ソプラノ)が、夫からの魔女の予言が書かれた手紙を読み、興奮して予言の実現を期待する。従者が、ダンカン王のマクベスの城への来訪を告げるので「今夜こそ国王暗殺の好機だ」と叫び、帰って来たマクベスを励まして、2人は暗殺を決心する。ダンカン王がバンコーたちと到着し、マクベスは「夜食の準備ができたらベルを鳴らすように妻に伝えよ」と命じ、国王暗殺を想像したモノローグを歌う。ベルが鳴り、マクベスは舞台裏で、夫人の盛った薬で倒れた王を刺す。夫人は取り乱す夫から血染めの短剣を取り上げて、罪をなすりつけるために眠っている衛兵の元に置いて去る。翌朝、バンコーとスコットランドの貴族マクダフ(テノール)が殺害された王を発見して、廷臣たちは大騒ぎとなり、素知らぬ顔のマクベス夫妻は皆に合わせる。

第2幕

魔女の予言通りにスコットランドの王位についたマクベスは、魔女の「バンコーの子孫が王位につく」という予言が気になり、夫人と今夜バンコー親子を暗殺することを決意する。マクベスに命じられた刺客がバンコー親子を襲い、バンコーは息子をかばって殺され、息子は逃げる。城ではマクベスが王位についた祝賀の宴が開かれ、夫人が「乾杯の歌」を歌う中、刺客がマクベスに、バンコーは殺害したが、息子を取り逃がしたことを報告する。マクベスには、バンコーの亡霊が彼の席に座っている幻影が見え、怯(おび)えて取り乱し、人々は驚く。

第3幕

魔女たちが、大釜を煮立てて歌い、不気味なダンスを踊っている。そこへ不安に悩むマクベスが来て、自分の将来と運命の予言を求める。魔女たちは「マクダフに用心せよ」、「女に産み落とされた者ではお前にかなう者はいない」、「森が攻め寄せない限り、お前は負けない」と予言する。マクベスが「バンコーの子孫が王位を継ぐ」という以前の予言の真意を追求すると、8人の王の幻影が現れ、8番目の王がバンコーそっくりなので、彼は気絶してしまう。ようやく気がついたマクベスは、彼を探しに来たマクベス夫人と、王位を保つために、バンコーの息子とマクダフの妻子も殺害する決心をする。

第4幕

スコットランドとイングランドの国境付近に、スコットランド亡命者が集まって、マクベスの圧政を訴えている。妻子を殺されたマクダフが、懐郷と妻子への思慕を歌う。そこへ、前国王ダンカンの遺児マルコム(テノール)が、イングランドの応援軍を率いて合流し、「森の木の枝をかざして進撃せよ」と命じ、マクダフも一緒に復讐すると誓う。マクベスの城では、医師(バス)と侍女(ソプラノ)が、マクベス夫人の異常な病状について話している。夫人が現れ、手に付いた血痕を洗い落とそうとするかの様にこすりながらアリアを歌い、錯乱のまま退出する。マクベスは、マルコム率いる反乱軍がイングランドと組んで攻めて来たことを知るが、魔女の予言を頼りに勝利を信じている。侍女が夫人の死を伝えるが、もはや彼には何の情感もおこらない。兵士が駆け込み「森が攻めて来た」と報告し、驚愕したマクベスは武器を取り「死か勝利か」と叫び出陣する。マクベスとマクダフが対決し、マクベスは魔女の予言を信じて「女に産み落とされた者には負けない」と言うと、マクダフは「自分は母親の腹を開いて取り出された者だ」と答え、その言葉に勇気と自身を失ったマクベスは敗れる。マクダフたちの凱歌(がいか)、新国王マルコムへの賛歌、祖国スコットランドへの喜びの歌で幕となる。