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♪Béatrice et Bénédict「ベアトリスとベネディクト」

by hidepost, le 20 nov 2015

作曲:Hector Berlioz(ベルリオーズ1803~1869)

内容:シェイクスピアの中期の戯曲の傑作、喜劇「空騒ぎMuch Ado About Nothing」を、[シェイクスピア風のオペラ]と銘打って作曲者自身がフランス語にして台本を書いた。作曲者が、生涯の最後に完成した大作で、明るく楽しい喜劇オペラ(オペラ・コミック)。2幕 フランス語

あらすじ

第1幕 総督の庭園

シチリアのメッシーナの民衆は、シチリア軍がムーア人との戦いに勝利をおさめた事を祝って歌い踊りながら、将軍ドン・ペドロの率いるシチリア 軍の凱旋を待っている。そこにレオナート総督(語り)が、娘エロ(ソプラノ)と姪のベアトリス(メゾソプラノ)を伴って登場する。エロは、副司令官として戦地に行った恋人クラウディオは無事に戻ってくるかしらと父レオナートに尋ね、レオナートは娘を安心させる。エロはアリア《もうすぐあの方に会える》と幸せ一杯に愛を歌う。そこへ、ドン・ペドロ将軍(バス)、クラウディオ(バリトン)、ベネディクト(テノール)が到着し、レオナート総監とベアトリスが加わって出迎え、レオナート総監はドン・ペドロ将軍に勝利を称える。ベアトリスは、昔から喧嘩相手 のベネディクトに「アレクサンドル大王も、ベネディクトの偉業には色あせるわね」と皮肉を言い、ベネディクトも「貴女はまだ生きていたの?」とやり返し、喧嘩の二重唱となる。一方エロとクラウディオは抱擁して再会を喜び合う。 ベアトリスが怒って立ち去るのを追って行こうとするベネディクトを、ドン・ペドロ将軍が呼び止め、今夜クラウディオとエロが結婚することになったことを伝え、幸せなカップルの姿を見れば、ベネディクトもベアトリスへの愛に目覚めるのではと期待する。しかしそんな周りの思惑などお構いなしに、ベネディクトは「結婚するくらいなら、修道院のほうがまし」と言い、ドン・ペドロ将軍とクラウディオとの三重唱で「万が一結婚するようなことがあったら『ここに結婚した男ベネディクトあり』という看板を出す」と宣言し去って行く。そこでドン・ペドロ将軍とクラウディオの二人は、ベネディクトとベアトリスがお互いに想い合っている事を気づかせようと一計を案じる。宮廷の音楽隊が到着し、楽長のソマローネ(バス)が、今夜結婚する二人のための婚礼の曲を練習する。ベネディクトがやって来ると、ドン・ペドロ将軍、レオナート総督、クラウディオの三人が、ベネディクトが立ち聞きしているのを承知でわざと「ベアトリスはベネディクトに恋をしているが、どうせベネディクトは嘲笑うだけだろうから、この事は彼には内緒にしておこう」と話し合って立ち去る。これはドン・ペドロ将軍らの策略だが、そうとは知らないベネディクトは衝撃を受け、「ベアトリスが私を愛しているなんて!」と感動し、彼女の素晴らしさと魅力を称えて情熱的にアリア《おお彼女を愛そう》を歌う。エロと侍女のウルスラ(メゾソプラノ)が現れて、「ベネディクトはベアトリスに夢中なのよ」とベアトリスに聞こえるように言ったら、彼女は聞き耳をそばだてていたと笑い合う。愛するクラウディオと一緒になれる幸せに、エロはウルスラと女声二重唱の夜奏曲「静けき清らかに澄んだ夜よ」を歌う。

第2幕 総督の宮殿

賑やかな婚礼の祝賀会。楽長ソマローネがシチリアワインを称えて即興曲を披露し、人々も声を合わせて歌い庭園に出て行く。そこに、ベネディクトに愛されていると聞いたベアトリスが、すっかり混乱して現れる。ベアトリスは、ベネディクトが戦場に向かった日の悲しみや、彼の身を案じても、元気を出して心配を笑い飛ばしていた日々を思い出し、自分の気持ちに正直になろうと決め、アリア《何という事を聞いてしまったのかしら》で、ベネディクトへの愛を歌う。優しげに歌うベアトリスの様子に驚いたエロとウルスラが、愛することの素晴らしさを話し、彼女にも結婚を勧めるが、ベアトリスは「結婚するくらいなら、修道院に入ったほうがましよ」と笑い飛ばす。エロとウルスラは衣装替えのために去り、そこへベネディクトが現れて、ベアトリスに何とか自分の想いを伝えようとするが、口から出てくる言葉はその反対になってしまう。しかしベアトリスは彼の真意を汲み取る。婚礼の合唱が歌われ、公証人のもと、エロとクラウディオの愛の誓いとなる。クラウディオとエロが結婚の署名をすると、レオナートが計画通りに「ここにはもう1組のカップルがいるはずだが」と言い、ベネディクトが1幕で宣言した『ここに結婚した男ベネディクトあり』と書かれた看板が運び込まれる。いよいよベネディクトは観念し、二人はただ同情と憐みからお情けで結婚するのだと言いながら、結婚の契約に署名する。ベネディクトとベアトリスは 「今日の所は休戦するが、明日はまた敵同士!」と歌い、一同が揃って陽気に歌って幕となる。