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♪Demon「デーモン」

by hidepost, le 20 nov 2015

作曲:Anton Rubinstein(ルビンステイン1829~1894)

内容:ロシアのプーシキンと並ぶ詩人レールモントフ(1814~1841)の叙事詩「Demon」を原作に、オペラ用に改訂したものに、ロシア人ピアニスト・作曲家ルビンシテイン(有名なポーランドのピアニストアルトゥール・ルビンステインとの血縁関係は無い)が、作曲したオペラ。チャイコフスキーは、彼の弟子で2人は親友であった。作風はドイツロマン主義風で、当時、民族主義的作曲家グループ5人組と対立していたこともあり、現代ではあまり演奏されないが、このオペラは叙事詩の良さもあって傑作。 3幕 英語 2時間30分

あらすじ

ここでのデーモン=悪魔とは、一般的に言う悪のシンボルとしての悪魔とは違い、元は天使の1人であったが、天を追放されて孤独にさまよう堕天使で、天使からは「疑いの天使」と呼ばれる。

第1幕:第1場、プロローグ

場所はグルジア、美しいコーカサスの山中。悪霊の声が、デーモン(バリトン)に、神の創造した美を破壊するように呼びかける。デーモンは、彼自身のこの世界への憎しみを歌い、天使(メゾソプラノ)が、天との和解を呼びかけるが、それをを拒絶する。

第2場
領主グダールの娘タマラ(ソプラノ)が、婚約者シノダル王子(テノール)との結婚を待ちわびている。その姿を一目見たデーモンは、一瞬にして激しい恋に落ちる。デーモンは 彼女に自分の愛を受け入れてくれるなら、全世界の良いものをすべてを彼女に与えようと懇願する。タマラは魅了されるものの、恐れからデーモンを拒絶する。

第3場
シノダル王子の一行は、婚礼のためにグダールの城に向かっていたが、道中の地滑りのために遅れていた。そこへデーモンが現れ、シノダル王子に「お前は2度とタマラには会えないと」告げる。一行はデーモンの悪知恵によりグルジア人の襲撃を受け、王子は致命傷を負い、死を察した王子は、召使(バス)に自分が死んだら遺体をタマラの元に届けてほしいと頼む。

第2幕:第4場
婚礼の宴はすでに始まっていたが、伝令(バリトン)が、シノダル王子の一行の到着が遅れていることを告げにくる。 タマラはデーモンの気配を感じ、恐れを抱く。そこへ花婿シノダル王子が遺体になって城に届き、嘆き悲しむタマラ。そして彼女にはデーモンの声で、その魅惑的な約束が聞こえ続け、苦悩する。タマラは、自分を修道院に入れてくれるよう、父親に願い出る。

第3幕:第5場
タマラへの愛が自分を救ってくれると信じているデーモンは、タマラを修道院にまで追って行く。天使がデーモンを押し留めようとするが、デーモンは修道院に入って行く。

第6場
タマラは修道院の自室で祈りを捧げているが、デーモンのことが思い浮かぶ。それは今では夢に出てくるほど彼女を悩ませていた。するとそのデーモンが、実際にタマラの前に現れる。デーモンは彼女への愛を誓い、もう1度自分を受け入れてくれるよう懇願する。タマラは憐みからついに屈し、彼の口づけを受け入れる。そこへ、突然天使が現れて、シノダル王子の霊を見せる。デーモンの«疑いの毒»がまわったタマラは、デーモンの腕の中で苦しみ、ついに死んでしまう。

エピローグ

天使がタマラの魂を抱いて天に昇ろうとすると、再びデーモンが現れ、タマラの魂の所有を主張するが、天使はタマラの魂を守り抜いて天に向かう。天使は「タマラはこれで救われたのだ。そしてデーモンは永遠に孤独な運命なのだ」と告げ、デーモンは再び孤独に取り残されて幕となる。