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♪室内オラトリオLe vin herbé 「魔法の酒」

by hidepost, le 12 nov 2014

コンサート形式
作曲:F. Martin(マルタン1890~1974)
内容:中世に宮廷詩人たちが広く伝えた恋愛物語「トリスタン」を基に書かれた、フランスの小説家J. Bédier(1869~1938)の小説「トリスタンとイズー(イゾルデ)」に、スイス人作曲家マルタンが作曲したもの。後にワーグナーが同主題で小説と同名の大きなオペラを作曲したが、これは12人の歌手、弦楽器7名、ピアノという小編成の室内オラトリオ。物語は、アイルランド王女イズー(ソプラノ)とマルク王の甥トリスタン(テノール)がコルンナイル(コーンウォール)を出発してから彼らの死までを扱ったもので、タイトルの「魔法の酒」とは、2人が誤って飲んでしまう<飲めば激しい恋に落ちる>という魔法の酒のこと。  18場 フランス語

あらすじは、以下のワーグナー作曲オペラ「トリスタンとイゾルデ」とほぼ同じですので、ご参考ください。

ワーグナー作曲「トリスタンとイゾルデ」のあらすじ

第1 幕

アイルランドの王女イゾルデ(ソプラノ)が、コーンウォール国のマルケ王のもとへ嫁ぐために、マルケ王の甥である勇士トリスタン(テノール)が舵を取る船に乗って海を渡っている。イゾルデの侍女ブランゲーネ(メゾソプラノ)は、「嵐でも起きて船が沈没してくれればよい」と動揺しているイゾルデの事を心配して、「悩みを打ち明けてください」と言うが、トリスタンに心深く囚われているイゾルデは、ただ天幕を上げるように命じる。イゾルデはブランゲーネにトリスタンを呼びに行かせるが、行かないと言うトリスタンに代わって彼の忠実な従僕クルヴェナール(バリトン)が「昔トリスタンは、イゾルデの婚約者モロルトを討ってその首をアイルランドに送った」と歌いだす。それをブランゲーネから聞いたイゾルデは「その戦いでやはり傷を負ったトリスタンは、その当時タントリスと名乗っていて、傷の秘薬を持つ私の所へ流れて来た。自分は婚約者の仇である彼を殺す事が出来ず、傷を癒してやったのだ。今、私が年老いたマルケ王と愛のない結婚をする時に、その彼が迎えに来るとは」とブランゲーネに打ち明けて怒る。ブランゲーネが、イゾルデが母から受けた愛の秘薬の事をほのめかすと、イゾルデは箱を持って来させ「私に必要なのはこれだ」と死の毒酒を取り出す。クルヴェナールが現れて上陸の準備をする様に言うが、イゾルデは「トリスタンが私に罪を謝しに来なければ上陸する事は出来ない」と言う。彼女はブランゲーネに死の毒酒の用意を命じ、ブランゲーネは躊躇(ためら)うがそこへトリスタンが現れる。彼は「婚約者の仇である私を殺せ」と言うが、イゾルデは「今は償いと和解の杯を交わしましょう」と杯を差し出す。彼はそれが死の毒酒である事を知りながら飲み干そうとし、イゾルデが残りの半分を飲む。2人は呆然と立ちすくみ、互いに見つめ合い恍惚として抱擁する。水夫たちの「マルケ王万歳」の叫びが聞こえ、ブランゲーネはイゾルデに王妃の外套を着せて、連れ出そうとするが「私はまだ生きている。何を飲ませたの」と問うイゾルデに、愛の秘薬を入れた事を白状する。

第2 幕

マルケ王が、部下のメロートの勧めで狩に出ている間、イゾルデはトリスタンとの逢引を待ち焦がれている。ブランゲーネは「メロートに注意して」と心配し、愛の秘薬を与えた罪を後悔するが、イゾルデはそれをさえぎって、自ら灯りを消しトリスタンへ合図を送る。トリスタンとイゾルデの愛の二重唱は、ブランゲーネの警告も耳に入らず、死への憧憬へと高まって行く。そこへメロート(テノール)の密告でマルケ王が現れ、妻イゾルデと、自分の甥で親友でもあるトリスタンに裏切られた悲しみを訴える。トリスタンはイゾルデに「私は夜の国に行く、貴方も一緒に来ますか」と静かに問い、頷く彼女に接吻する。それを見たメロートは、王の恥辱を成敗すると剣を抜き、トリスタンは傷を受ける。

第3 幕

クルヴェナールが重傷のトリスタンを故郷に連れ帰り、その傷を治せるのはイゾルデの持つ秘薬だけだと彼女を呼び、待っている。牧童が笛を吹きながら現れ、トリスタンの容体を尋ね、クルヴェナールは「彼女の船が見えたら楽しい歌を吹いてくれ」と頼む。牧笛の音に意識を取り戻したトリスタンは、夢遊状態の中でイゾルデの船が近づく幻影を見たり、過去を語ったりして失神する。イゾルデの船が来た合図の楽しい牧笛が聞こえ、トリスタンは歓喜に震えて“おお太陽よ”と歌う。イゾルデは駆け寄って、よろめくトリスタンを抱きしめるが、彼は「イゾルデ」と一言呼んで息絶える。彼女も彼の亡骸の上で気を失う。再び牧笛が聞こえ、マルケ王の一行が到着し、クルヴェナールはメロートを刺すが、兵士たちに倒されてしまう。ブランゲーネから愛の秘薬の事を聞いて、2人を赦すために来たマルケ王は、トリスタンの死を嘆く。ブランゲーネの介抱で気がついたイゾルデは「穏やかに静かに彼が微笑んで」と静かに歌い、永遠の愛の陶酔の中に息絶える。王は悲しみ、2人の冥福を祈り幕となる。