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♪Aleko アレコ

by hidepost, le 5 nov 2014

作曲:S. Rachmaninov(ラフマニノフ1873~1943)
内容:ロシア人作曲家ラフマニノフは、ピアニストや指揮者としての多忙な活動の中で、ピアノ曲を中心にあらゆる分野においてロシアロマン派の作品を残した。現在オペラ作品は、「アレコ」1892年、「けちな騎士」と「フランチェスカ・ダ・レミニ」1904年の、3つのオペラが上演される。今回はその3作同時公演で、それぞれは1時間程の短いオペラで、ロシアの哀愁をおびた暗いものだが、その中に現れる甘美なメロディはとても美しい。
3つの1幕のオペラ。ロシア語

アレコ Aleko

プーシキンの叙事詩「ジプシー」(1824年)をもとに、ネミロヴィチ・ダンチェンコが台本を書いた。作曲者が19歳の時に、モスクワ音楽院の卒業作品として作曲し、最優秀賞を得て、崇拝するチャイコフスキーの尽力で翌年1893年ボリショイ劇場で初演される。

あらすじ

ジプシーたちの集落。元青年貴族のアレコは、自分を取り巻く貴族社会に嫌気がさして、放浪の旅に出て、出会ったジプシー娘ゼムフィーラと恋に落ち、今は彼女と一緒にジプシーたちと暮らしている。

自由な生活を謳歌するジプシーたちの合唱に続いて、ゼムフィーラの父親の老ジプシー(バス)がアリア「ああ青春の日々よ」を歌い、昔話を始めて「わしの妻は幼い娘ゼムフィーラを残し、ある日突然、他の男と一緒に姿を消してしまった。わしはその時から、女というものが信用できなくなった」と嘆く。それを聞いたアレコ(バリトン)は、「なぜその時に二人を殺さなかったのか」と問うが、アレコの妻ゼムフィーラ(ソプラノ)は、「愛は自由なものよ」と反発する。アレコとの間に幼い子どもまでいるゼムフィーラだったが、彼女の心は既に若いジプシー(テノール)になびいていた。その若いジプシーは「アレコは嫉妬深いが怖くはない」と呟く。ジプシーの女たち、そして男たちの踊りが続く

夜が更けて、ジプシーたちはそれぞれの幌馬車に入ってゆく。若いジプシーとゼムフィーラが残るが、アレコがやって来たので、若いジプシーは立ち去る。ゼムフィーラは、蓮っ葉な小唄を歌って夫アレコをからかって幌馬車に消え、一人になったアレコは、浮気を罪と思わないゼムフィーラのジプシーとしての本性を悩み、有名なアリア「みんな寝ている」を歌う。

間奏曲の後、夜明け間近の情景。ゼムフィーラと若いジプシーが逢引し、ゼムフィーラは「夫に見つかれば殺されるわ」と恐れて帰ろうとするところに、アレコが現れる。浮気の現場を見て激昂したアレコは、ゼムフィーラに「もう愛していないのか」と詰め寄り、彼女は「愛していたのは昔のことよ」と言い放つ。「自分の全てを捨ててお前への愛に生きようとしたのに」と言うアレコは、復讐だと叫び、若いジプシーを刺し殺し、さらに妻ゼムフィーラも殺してしまう。やがて夜が明け、ジプシーたちは凄惨な光景を見て驚き、ジプシーの老婆(メゾソプラノ)は新しい墓を掘れと命じる。ゼムフィーラの父の老ジプシーはアレコに「わしらジプシーには、掟は無い。だから、お前を裁いたり罰したりはしない。しかし、人殺しと一緒に暮らすことは出来ない」とアレコに追放を言い渡す。アレコは、「この悲しみ!このタスカー(=苦しみ)、俺はまた独りぼっちになるのか」と言い残して1人悲しげに立ち去って幕となる。