Skip to content

♪ Daphne「ダフネ」

by hidepost, le 14 juil 2014

作曲:R. Strauss (リヒャルト シュトラウス1864~1949)
内容:ギリシャ神話 オウィディウスの「アポロンとダフネ」を題材に、ウィーン人の劇史家J. Gregorが台本を書いた。シュトラウスの後期の作品で、ワーグナーの影響を脱ぎ捨てた、透明感と簡潔さに満ちた名作。作曲者の友人の指揮者カール・ベームに献呈され1938年に初演された。1幕(約1時間40分)ドイツ語

川岸にある漁師ペナイオス(バス)の小屋の近くで、第一の羊飼い(バリトン)が遠くから聴こえてくる角笛の音を聴いて、あれは祭りの知らせだと言う。それを聞いた第二の羊飼い(テノール)は、それは何の祭りだ?と問うので、第一の羊飼いは、それは生ける物全てが交わり結婚するディオニッソスの祭りだと答える。夕日が沈み、羊飼い達は、太陽に別れを告げる合唱をして立ち去っていく。

ペナイオスの美しい娘、まだ幼さの残るダフネ(ソプラノ)が、家から出てきて《ああ留まって、愛するお日様》を歌う。こよなく昼の光を愛し、花や木々を兄弟だと思っているダフネは、人間たちの欲望に満ちた生き方には馴染めないでいる。彼女が樹に抱きつき、太陽神アポロを讃えると、その樹の陰から幼馴染の羊飼いロイキッポス(テノール)が笛を持って飛び出してくる。ロイキッポスはダフネに子どもの頃の思い出を語り、彼女に愛の告白をする。しかし、ダフネは笛の音はとても好きだけれど、笛を吹いている人より も笛を鳴らす風が好きなのだと言い、貴方のことも本当の兄妹のように好きだと答える。ロイキッポスはダフネを女性として愛しているのだと彼女を抱きしめるが、ダフネはその手を逃れて家に向かって走り出し、ロイキッポスも彼女とは反対の方向に走り去る。家からダフネの母ゲア(アルト)が現れて、ダフネに「ディオニッソスの祭りは人間だけでなく、全ての生き物の繁殖のための祭りだ」と言って、女中にダフネのために用意したこの日のた めの衣装を持ってこさせ、着せようとする。しかし、ダフネはそれを嫌がり家の中に逃げ込み、母ゲアはあきれて彼女の後を追って家 に入って行く。女中達は「こんなに綺麗な衣装なのに勿体無い」とおしゃべりを始め、河堤に座っていたロイキッポスに向かって、「この衣装を着て女装をしてダフネに接近するとよい」と勧める。ロイキッポスはそんなことは嫌だと言って最初は断るが、最後には女中たちに説得されて立ち去る。

夕闇が迫り、漁師ペナイオスがゲアを伴って家から出てくると、祭りのために集まった数人の羊飼いたちも現れる。ペナイオスは、オリンポス 山の頂きの夕日がいつもと違う耀きを放っているので、「これは太陽神アポロが降臨する(人間界に降りる)知らせだ」と言って祭壇の用意を命じる。しかし、皆がそれを信じな いので、ペナイオスが神々の笑い声のマネをしてみると、それに恐ろしい木霊が返ってくるので皆は驚く。そして、辺りが一瞬赤い光に包まれて、ひとりの青年が現れる。彼は、「自分はオリンポス山麓の羊飼いだが、ディオニッソスの祭りの力で発情してしまった牛を追ってここまでやって来た」と話す。皆は、ペナイオスの予言が見事に外れて、アポロではなく羊飼いが現れたことを笑う。しかし、ペナイオスはその青年に慇懃(いんぎん)に挨拶をして皆を退かせて、彼の相手をさせるためにダフネを呼びにやる。一人残った羊飼いの青年つまりアポロ(テノール)は、欲情の赴くまま羊飼いなどに変身して人間界に降りた自分の浅ましさを自ら責める。しかし、そこにダフネが現れ、アポロは 彼女の美しさにたちまち惹かれてしまう。アポロは、彼女が自分の妹の月の女神アルテミスに似ているので「妹よ」と呼びかける。妹と呼ばれたダフネは、アポロに親しみを感じて、旅の汚れを落としたいと言う彼の手に水をかけて、持ってきた青いマントを背中にかけようとする。しかし、その時彼が余り神々しく輝いているのに驚き、「貴方は誰ですか?」と問う。アポロは「私は毎日馬車の上から貴女を見ています」と話すが、ダフネはなおも戸惑う。何も話さないダフネに、アポロは彼女の願いである太陽の光に対する憧れを思い出させて、もうずっと太陽から離れさせないと言う。それを聞いたダフネはうっとりとしてアポロの胸に抱かれるが、彼が強く抱いて接吻をすると、もがいて逃れ、「それが兄のすることですか!」と叫ぶ。それに対してアポロは君を愛すと歌う。空には月が現れて、ディオニッソスの祭りの愛の歌が聴こえてくる。アポロはダフネに「この愛の祭りを否定するのですか?」と言うが、彼女は祭りを恐れてしまっている。

ペナイオスに率いられて皆がやって来て、祭りが始まる。ダフネは村の娘たちと一緒になり、アポロは村の若者たちのグループに分かれて踊りを踊る。しかし、娘たちのグループに女装したロイキッポスが紛れて入り、ダフネと踊ろうとするのを目にしたアポロは、神々への裏切りだと激しく怒り出す。それを聞いた羊飼いたち は、そんなに偉そうな事を言うならば、その証拠をみせろとアポロに迫る。するとアポロは矢を天に向かって放ち、雷鳴を起すので、皆は恐れて逃げ出す。後には、アポロとダフネ、そしてロイキッポスだけが残る。ロイキッポスは女装を解き、堂々と名を名乗り、ダフネに「そのような見知らぬ男から離れて自分と一緒になろう」と熱烈に歌い、アポロに向かって「一体お前は何者なのか?」と問い詰める。アポロは「自分は太陽の神アポロである」と正体を明かすが、ロイキッポスはそれを信じようとせずに彼を罵る(ののしる)。怒ったアポロは遂に彼を矢で射て、雷鳴と激しい光が輝いてロイキッポスは倒れてしまう。まぶしい光に一瞬目が眩んだ(くらんだ)ダフネは、幼馴染の死を嘆いて《おお私のロイキッポス》を歌う。それを聴いたアポロは、惨い事をしてしまったと後悔して《何を目の当たりにするのか》を歌って、ディオニッソス神に愛の信者を殺してしまったことを詫びる。そして、ゼウスに「ダフネを自分の恋人として永遠に緑の月桂樹 にして欲しいと」祈り消える。一人残ったダフネは、《私は行く》を歌いながら恍惚に身を委ねて月桂樹へと変容して、幕となる。