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♪Les mamelles de Tirésias「ティレシアスの乳房」

by hidepost, le 3 oct 2013

作曲:Francis Poulenc(プーランク1899~1963)

編曲:B. Britten(ブリテン1913~1976)

内容:アポリネールのシュールレアリスト戯曲を基に、第2次世界大戦中に作曲されたこのオペラは、フランスの上品なエスプリを伝える、風刺と諧謔(かいぎゃく)に満ちたコメディ・オペラ。今回は、1958年にイギリスの作曲家ブリテンが編曲した2台ピアノ伴奏による編曲版で公演する。

プロローグ付き2幕 フランス語

あらすじ

プロローグ:劇場支配人(バリトン)が「生き方の改革に関するオペラを提供します。主題は子どもを増やすことで、時間や空間を超越して親しい口調で演じますから、夜空の星のように、この世が幼い子の瞳で輝きますよう、このオペラを観てお帰りになって今夜から皆様が子作りに励まれることを願っております。戦争の教訓です。」と口上を述べる。

第1幕

美人でチャーミングな肉屋の女房テレーズ(ソプラノ)が、箒を持って飛び出して来て、「もう夫に従うのはまっぴら、私はフェミニスト(女権拡張論者)」と叫び、「夫が妻を守るのではなく、私自身が戦うのだ。戦う私は子どもなんか作らない」と言う。夫(バリトン)が中から呼んでも、知らん顔をして、私は、兵士に、法律家に、はては大統領になるのだと歌う。そして胸をはだけると、胸から2つの風船が空中に浮き上がり、彼女は、その女性の象徴をライターで火を点けて破裂させ、女性に別れを告げる。すると彼女の顔に髭が生え始める。業を煮やした夫が出て来て彼女の顔に驚くが、テレーズは「私はもう女じゃないの。名前も男名のティレシアス」と宣言して家の中に入り、窓から、便器や尿瓶(しびん)を投げ出すので、夫は「事態は大事になった」と肩をすくめる。賭け事師のプレスト(バリトン)とラクーフ(テノール)の二人が、ポルカを踊りながらやって来るが、お互いに相手のせいで一文無しになったとなじり合って、ついに決闘となり、同時にピストルを発射して二人とも死んでしまう。そこへ、男になって最新流行の衣服を着たティレシアスが、夫に女の衣装を着せ両手を縛って連れて来る。ティレシアスは、まず男としては新聞を読まねばと言って、新聞を買って読み始める。そこにはプレストとラクーフの決闘事件が載っており、町の人々も加わって新聞を読み上げる。ティレシアスは「手始めに市長になろう」と言って出て行く。憲兵(バリトン)が「犯罪の匂いがする」と言いながら現れ、助けを求める夫を、可愛い娘が縛られていると勘違いして、夫の胸を触る。夫が必死に事情を説明するが、憲兵には解らない。その時「ティレシアス代議士万歳、子作りは止めよう」という合唱が聞こえてきて、夫は「それなら私が女無しで子どもを作ってみせる」と宣言し、死んだはずのプレストとラクーフも加わって「パン屋のかみさん、7年毎に亭主を変えて」と合唱する。

幕間劇 合唱団がガボットを踊りながら登場し、観客に、これから生まれる子どもたちを祝福して待つようにと歌う。オーケストラピットから、赤子の合唱が聞こえる。

第2幕

人口孵卵(ふらん)器を発明した夫は、たくさんの揺り籠に囲まれて、父親になった喜びを歌う。そこにパリの新聞記者(テノール)が、「女無しで子どもを生んだ父性本能の秘密」を取材に来て、夫は「意思の力である」と答え、「養育費は子ども自身が既に稼いでいて、娘の1人は普通の詩人の5千年分の収入を得る詩を書いたので問題なし」と紹介する。それを聞いた新聞記者が金を貸してくれと言うので、夫は彼を追い返す。「子だくさんは貧乏の元などと言った経済学者は馬鹿だ」と夫は息巻いて、立派な新聞記者を育てるのだと言いながら、揺り籠にペンを入れる。するとその揺り籠の中から、急に18歳に育った息子(バリトン)が出て来て、パパの秘密をばらすと脅(おど)して小使いをせびるので、夫は息子を追い出して「あの息子は失敗作だった」とつぶやく。次は洋服屋でも作ろうかと言っている時に、憲兵が現れ、「この町は急な人口の増加で食糧危機に陥った」と告げる。夫が、占い女に未来を占ってもらうしかないと言うと、ヴェールを被った占い女が現れ「子どもを作らなければこの町に未来はない」と予言し、子どもを作らない憲兵とやり合う。占い女がヴェールを取ると、それは妻のテレーズで、彼女は夫に抱きついて「世界中を見聞して来たけれど、愛し合うことが一番素敵なことだと解った」と言う。皆も出て来て「子作りに励みましょう」と合唱して幕となる。