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♪コンサート形式Guillaume tell「ギョーム・テル」(ウィリアム・テル)

by hidepost, le 3 oct 2013

作曲:Gioachino Rossini(ロッシーニ 1792~1873)

歌手:Nicola Alaimo、Nora Gubisch、Ilse Eerens、Ermonela Jaho

内容:ドイツの文豪シラー(F. von Schiller)の戯曲を基に台本が書かれた、オペラの多作家ロッシーニの39番目の最後のオペラ。今回はフランス語オリジナル版で公演され、超絶的な声の歌手による壮大なグランド・オペラ。4部からなる序曲も有名。

4幕 フランス語

 

「夜明け」、「嵐」、「牧歌」、「終曲」の4部からなる有名な序曲で幕が開く。

第1幕

この物語の当時、スイスはオーストリアの統治下にあり、オーストリアの代官ジェスレルは冷酷非道で、住民を搾取(さくしゅ)し、人々は苦しんでいたが、表面は平和に暮らしている。そんな中、スイスの指導者メルクタールの息子アルノルドは、オーストリア王女マティルデが事故に遭ったところを助けた縁で、政治情勢にもかかわらず二人は恋に堕ちている。

羊飼いの祭りの日、スイス愛国者で弓の名人ギョーム・テル(バリトン)は「このままでは祖国スイスは滅びてしまう」と物思いにふけっている。スイスの指導者メルクタール(バス)が、3組の結婚式を行うために村人と現れる。メルクタールの息子アルノルド(テノール)は、祖国への愛と、敵方の王女マティルデへの愛の板ばさみに悩んでいる。結婚式の祝いが進む中、遠くからオーストリア代官ジェスレル一行の狩の角笛が聞こえ、突然、羊飼いルトルド(バス)が駆け込んで来て「娘がジェスレルの部下に襲われそうになったので、その男を殺して逃げて来た」と湖の対岸まで逃げる助けを求める。テルがルトルドを小船に乗せて無事に対岸に渡りきった時に、追手が到着し、ジェスレルの部下ロドルフ(テノール)は、報復としてメルクタールを捕らえて連れて行ってしまう。

第2幕

湖近くの谷で、アルノルドはオーストリア王女マティルデ(ソプラノ)と会い、マティルデ王女は身分を越えて愛を誓う。そこへテルが来るので、アルノルドはマティルデを去らせ、テルに「自分は祖国よりも愛を大切にする」と言うが、テルから、捕らえられた父メルクタールが処刑されたと知らされ、祖国のために戦い、復讐すると誓う。各州から集合した人々が、テルを中心に「ジェステル打倒、祖国のために武器をとろう」と力強く合唱する。

第3幕

オーストリアのスイス統治百年記念日の祝日、代官ジェスレル(バス)は、町の市場に棒を立てて自分の帽子を被せ、その前を通る民衆すべてに敬礼するように命じる。通りがかったテルとその息子のジェミー(メゾソプラノ)は、帽子への敬礼を拒絶し、ジェスレルの部下ロドルフに咎められ、息子と共にジェスレルの前に連行される。ジェスレルは、「本来なら死刑だが、テルは弓の名手なので、もし息子の頭にりんごを置いて、それを射落とせるならば許す」と難題を吹っかける。「親にそのようなことができようか」と断るテルに、息子ジェミーが父の手を取って励ますので、テルは息子を抱きしめて、感動的なアリア“動いてはいけない”を歌い、矢を放つ。テルは見事にりんごを射落とすが、なぜもう1本矢を持っているのだと問うジェステルに「もし失敗したら、この2本目の矢でジェステル本人を射殺すつもりだった」と答え、怒ったジェステルは、テルと息子の再逮捕を命ずる。そこへ、マティルデが侍女と共に現れ「オーストリア君主の命令として、子どもは自分の保護下にする」と言い、ジェステルは仕方なくジェミーをマティルデに渡すが、テルは罪人として引き立てられる。

第4幕

アルノルドは、荒廃した我が家の前で、殺された父のことなどを思っている。そこへスイス愛国者たちが現れ、テルが逮捕されたことを告げ、アルノルドは、テルを救出し、祖国のために戦うと絶叫する。テルの妻エドヴィージュ(メゾソプラノ)は、夫テルが逮捕されたことを嘆き、村人に慰められている。そこへ、息子ジェミーが王女マティルデに連れられて戻って来るので、エドヴィージュは喜び、マティルデに感謝する。ジェミーは父の言葉を守って、スイス人に時が来たことを知らせる狼煙(のろし)を上げ、父の弓矢を取って来る。ジェステルと部下たちは嵐の中を湖を渡って、テルを牢獄に連行しようとしている。嵐が激しくなり、テルは舟から岩場に飛び移り、駆け寄ったジェミーから弓矢を受け取ると、舟にいるジェステルを射殺す。アルノルドたちもジェステルの城を陥落させて集まり、嵐の静まりと共に、一同は祖国スイスに自由を取り戻した喜びを合唱し幕となる。