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♪ La Clemenza di Tito「皇帝ティートの慈悲」KV. 621

by hidepost, le 20 juin 2013

作曲:Wolfgang Amadeus Mozart(モーツァルト 1756~1791)

内容:神聖ローマ皇帝レオポルト2世が、1791年プラハで行うボヘミア王としての戴冠式で上演する演目として、ボヘミアの政府から作曲が依頼され、モーツァルトはその死の数ヶ月前に「魔笛」を中断して18日間で作曲したと言われている。今までは公演頻度が低かったが、その音楽の素晴らしさで、最近とみに評価が上がった作品。 イタリア語 2幕

あらすじ

第1幕

先帝ヴィテリウスの娘ヴィテッリア(ソプラノ)は、ローマ皇帝ティートの皇妃になることを望んでいたが、皇帝ティートは、ユダヤの王女と結婚したいと考えている。嫉妬したヴィテッリアは、皇帝ティートの親友で、かねてから自分に好意を寄せているセスト(メゾソプラノ男役)に、皇帝ティートの暗殺をそそのかす。セストは、皇帝の徳を懇々と語り、ヴィテッリアに暗殺の企てを止めるように説得するのだが、かえって彼女の怒りを買ってしまう。そこへセストの友人アンニオ(メゾソプラノ男役)が来て、皇帝ティートがユダヤの王女との結婚をあきらめ、王女もローマを去ったことを告げる。その知らせを聞いたヴィテッリアは、セストにティート帝暗殺は延期するように言って去ってゆく。かねてからセストの妹セルヴィリアと愛し合っているアンニオは、セストに皇帝ティートから結婚が許されるように口添えしてくれるように頼み、セストは喜んで彼の頼みを引き受ける。民主の歓呼の中、フォロ・ロマーノに現れた皇帝ティート(テノール)は、セストに、彼の妹セルヴィリアを皇妃に迎えるつもりだと話す。セルヴィリアの恋人アンニオは驚くが、何も言わずに皇帝ティートの選択を称える。皇帝ティートは、セルヴィリアにそのことを伝える役をアンニオに託し、セストとともに去って行く。アンニオは、恋人を皇帝に奪われたことを嘆きながらも、やってきたセルヴィリア(ソプラノ)に、皇妃に選ばれたことを告げるが、彼女は皇妃になれることを喜ぶどころか、彼に不変の愛を誓う。

パラティヌスの丘にある皇帝の宮殿で、プブリオ親衛隊長(バス)が罪人のリストを皇帝ティートに見せるが、彼は、リストにある罪人たちをすべて許すように命じる。そこへ、セルヴィリアがやって来て、皇帝ティートに自分は既にアンニオを愛していることを告白し、彼女の誠実さに打たれた皇帝は、セルヴィリアの正直さを讃え、結婚をあきらめて去って行く。そこへ、セルヴィリアが皇妃になると信じているヴィテッリアがやって来るが、セルヴィリアが、「皇妃に選ばれるのはあなた」と言うので、ヴィテッリアの怒りは爆発し、セストに再び皇帝を暗殺することを命じる。ヴィテッリアのあまりの怒りように、彼女を愛するセストは、やむなく皇帝暗殺を実行することを誓って出て行く。そこへ、プブリオ親衛隊長とアンニオが来て、ヴィテッリアが皇妃に選ばれたことを告げる。セストが既にティート皇帝を暗殺するために出かけた後なので、ヴィテッリアの心は千々に乱れる。セストは、慈悲深い皇帝ティートを暗殺する罪深さに恐れながらも、愛するヴィテッリアの願いどおり暗殺を実行する。火の手の上がる宮殿を見ながら、セストは思わず、神に皇帝ティートの無事を祈る。火災を逃れてアンニオ、セルヴィリアやヴィテッリアが現れ、ヴィテッリアはセストに絶対に自白はするなと厳しく命じる。一同は、皇帝ティートを失ったことを嘆き混乱する。

第2幕

しかし皇帝ティートは生きていた。セストはアンニオに自分が犯人であったと打ち明けるが、アンニオには信じられない。ヴィテッリアは、セストにローマから早く逃げてと言うが、時遅くプブリオ親衛隊長がセストを逮捕する。民衆が皇帝の無事を喜び合唱する。皇帝ティートはセストが真犯人であることが信じられないが、アンニオがセストの助命を嘆願し、親衛隊長プブリオがセスト自身が罪を認めたと報告する。皇帝ティートは親友の裏切りにショックを受けるが、死刑宣告の署名をためらってセストを呼び、古い友人として事情を打ち明けてくれと語りかける。しかし、セストは愛するヴィテッリアをかばって罪をかぶり、ただ死のみを願う。皇帝はやむなく彼にコロッセオで猛獣と戦わせる処刑を命じる。アンニオとセルヴィリアが、ヴィテッリアにセストの助命を皇帝に嘆願するよう頼み込むので、彼女はセストが最後まで自分をかばったことを知り、彼の愛を深く感じ、彼を死に追いやって自分は皇妃になることを恥じて、皇帝ティートに自分の罪を打ち明けることを決心する。皇帝ティートがセストに死刑を告げようとする瞬間、ヴィテッリアは自分が首謀者であると名乗り出る。皇帝ティートは、自分の花嫁になる者までが裏切っていたことに驚くが、「裏切りよりも慈悲が強い」と言い、すべてを許す。一同の寛大なる皇帝ティートを讃える合唱のうちに幕となる。