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♪Pelléas et Mélisande「ペレアスとメリザンド」

by hidepost, le 5 fév 2013

作曲:Claude Debussy (ドビュッシー 1862~1918)

内容:「青い鳥」の作者でノーベル文学賞のベルギー人M. Maeterlinck(メーテルリンク1862~1949)の同名の戯曲を作曲者が改訂して台本を作った唯一のオペラ。歌うというより語るような自由で流動的な旋律が、神秘的で象徴的な要素を生かし、幻想的な中に生々しい人間の葛藤を描いている。

フランス語 5幕

あらすじ

第1幕
ペレアスの異父兄のゴロー(バリトン)が狩りに来て道に迷い、泉のほとりで美しい娘に出会う。彼は水中に娘が落とした王冠を見つけるが、怯える娘は拾わせようとせず、ただ自分の名前はメリザンド(ソプラノ)とだけ言う。

-間奏曲-

6ヶ月後、アルマンド王国(架空の国)の城内でゴローとペレアスの母ジュヌヴィエーヴ (アルト)が、ゴローからペレアス宛に届いた手紙を目の不自由なアルケル王(バス)に読んで聞かせている。手紙には、ゴローが半年前に森で出会ったメリザンドを妻とした事、祖父アルケルがそれを許してくれるのならば、城の塔に灯を点して知らせて欲しいと書かれている。アルケル王は、「ゴローは先妻の死後長い間1人だったのだから」とそれを許す。ゴローの異父弟ペレアス(テノール)が現れ、友人の病気見舞いに行く承諾を願うが、アルケル王は「お前の父も重病で、兄ゴローも戻って来るのだから」と言い、塔に灯を点す様に命じる。

-間奏曲-

ジュヌヴィエーヴに伴われて海を見に来たメリザンドは、城が深い森に覆われている事に驚く。そこへぺレアスが来て、「今晩は嵐になるだろう」と言い、メリザンドは自分たちを乗せて来た船が帰航するのを心配する。ジュヌヴィエーヴが、ゴローの先妻との子イニョールド(ソプラノ)の世話のため、ペレアスにメリザンドを託して城に帰って行く。ペレアスは暗闇をメリザンドの腕を支えながら歩き、突然「自分は明日発ちます」と言い、メリザンドは「何故?」と不思議がる。

第2幕
ペレアスがメリザンドを『盲目の泉』に案内し「昔この泉で眼が治ったのだが、国王の眼が悪くなってからは忘れられている」と説明する。メリザンドは深い泉を覗き込みその長い髪を濡らしてしまい、彼が彼女とゴローとの出会いの時の事を尋ねると、彼女はゴローからもらった指輪をもてあそび、ついにその指輪を泉の中に落としてしまう。「ゴローに指輪の事を聞かれたらどうしよう」と心配する彼女に、彼は「本当の事を言いなさい」と言う。

―間奏曲―

落馬して寝台に臥しているゴローをメリザンドは甲斐甲斐しく看病するが、突然「ここにいると病気になるから一緒に遠くに行きたい」と泣き出し、ゴローは彼女の手をとって慰めようとして結婚指輪が無い事に気づく。彼女は「洞窟に落とした」と嘘をつくがゴローは「直ぐに探しに行け」と激怒して、1人では怖いと言う彼女にペレアスに一緒に行ってもらうように命じる。

―間奏曲―

ペレアスはメリザンドを案内し、ゴローに洞窟の様子を聞かれた時に困らない様にと洞窟の中の様子を教える。月の光が貧民たちを照らし出し、驚いた彼女は急いで戻ろうと言う。

第3幕
星明りの夜メリザンドが塔の上の部屋で長い髪をときながら歌っている。ペレアスが「明日出発してしまうのだからその手に接吻させて欲しい」と頼み、彼女が身を乗り出すと長く美しい金髪が塔の下まで垂れ下がる。彼はその髪と戯(たわむ)れ、彼女に愛を打ち明ける。ゴローが現れ「何て子どもじみた事をしている」と神経質に笑いながら2人を叱る。

―間奏曲―

ゴローがペレアスを城の地下に連れて行き、ペレアスは兄の震える手を見て警戒する。ゴローは「メリザンドも直ぐに母になるのだから、昨晩の様な悪ふざけなどせず、彼女から離れてくれ」と忠告する。

―間奏曲―

ゴローは息子イニョールドを抱き上げ、メリザンドの部屋を覗かせ、メリザンドがペレアスと一緒にいる事を確かめる。

第4幕
ペレアスはメリザンドに「明日から旅に出るので今晩『盲目の泉』で逢って欲しい」と約束させる。アルケル王が、メリザンドを優しく労わっていると、嫉妬にかられたゴローが現れ「お前の眼は無垢の様で大それた秘密を隠している」と激しく罵(ののし)り手荒な仕打ちをし、アルケル王が止める。

―間奏曲―

深夜『盲目の泉』で物思いに沈んだペレアスがメリザンドを待っている。彼は、現れたメリザンドに激しい愛を訴え、罪の意識に怯えていた彼女も、全てを忘れて抱擁する。忍び寄ったゴローがペレアスを刺し、ペレアスは倒れメリザンドは逃げて行く。

第5幕
メリザンドがゴロー、アルケル王、医者に囲まれて寝台に臥している。ゴローは彼女と2人きりで話したいと頼み「ペレアスを愛していたのか?」問い、彼女は 「愛していた」と無邪気に答える。「不義をしたのか?」という問いにはただ否定するのみ。彼女は新しい生命を産んだ後、息を引き取ってしまう。アルケル王は、泣くゴローに「彼女は内気な静かな人で、不思議な謎であった。彼女の子どもは彼女の代わりに生きて行くのだ」と言い、静かに幕となる。