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♪Francesca da Rimini フランチェスカ・ダ・リミニ

by hidepost, le 5 nov 2014

作曲:S. Rachmaninov(ラフマニノフ1873~1943)
内容:ロシア人作曲家ラフマニノフは、ピアニストや指揮者としての多忙な活動の中で、ピアノ曲を中心にあらゆる分野においてロシアロマン派の作品を残した。現在オペラ作品は、「アレコ」1892年、「けちな騎士」と「フランチェスカ・ダ・レミニ」1904年の、3つのオペラが上演される。今回はその3作同時公演で、それぞれは1時間程の短いオペラで、ロシアの哀愁をおびた暗いものだが、その中に現れる甘美なメロディはとても美しい。
3つの1幕のオペラ。ロシア語

フランチェスカ・ダ・リミニ

ダンテの「神曲」地獄篇第5歌をもとに、台本はチャイコフスキーの弟モデスト・チャイコフスキーが書いた。この題材は、他にもロダンの彫刻「接吻」など多くの芸術家の作品になっている。上記「けちな騎士」との2本立てで、1906年に作曲者自身の指揮でボリショイ劇場で初演された。

あらすじ

フランチェスカ・ダ・リミニは、イタリアのラヴェンナの領主グイド家の娘として1255~1285年に生きた実在の女性である。政略結婚でマラテスタ家の息子パオロと結婚式を挙げた翌朝、実は本当の夫は、その兄のランチェオットであると知らされたフランチェスカは、すでにパオロを愛するようになっていた。その結果、夫ランチェオットの嫉妬によって、フランチェスカとパオロはランチェオットに殺害される。この実際に起こった悲劇をダンテが叙事詩「神曲」の地獄篇の中に 織り込んだのである。

プロローグ

第1部

ダンテ(テノール)は、大詩人ヴァージルの影(バス)によって地獄を案内されていた。二人は地獄の入口を抜けて進み、辺りは強風が吹き荒れ、永遠の責苦に苛(さいな)まれる罪人たちの呻(うめ)き声が、嵐のように渦巻いていた。ダンテは恐怖を覚え、思わず足を止める。しかしヴァージルはダンテに「ここでは恐怖ではなく憐れみが要求されるのだ」と語る。

第2部

二人は 断崖のそばの大穴«愛欲者の地獄»に進み、ヴァージルが「ここは愛欲に囚われた魂の地獄である」と説明する。ダンテは激しい嵐の中で、悲しく抱き合う二人フランチェスカとパオロに目をとめる。二人は愛欲者が落ちると言われるこの地獄で「幸せだった昔を思い出す」という終わりのない悲しみに身を沈めていた。

第1場

マラテスタの宮殿
ローマ法王の敵を打ち破り、その功績を高く評価されていたランチェオット・マラテスタ(バリトン)は、枢機卿からまた遠征を命じられ、出陣しようとするが、彼の心は、妻フランチェスカ(ソプラノ)への激しい嫉妬に苛まれている。事の発端は妻フランチェスカの父親グイドにあって、長年、不和関係にあったグイド家とマラテスタ家の戦いを終結させるために、グイドは娘フランチェスカとランチェオットの策略結婚を提案した。しかしランチェオットは足が不自由な上に堅物であったので、彼の美しい弟パオロを、代理という事を隠してフランチェスカに求婚させたのである。真相を知る由もないフランチェスカは、美しいパオロを本当に愛し、結婚の誓いを交わす。筋書き通りに事は運び、結婚式がおこなわれた翌朝、フランチェスカは、本当の夫がパオロの兄のランチェオットである事を知らされる。一方ランチェオットは、妻となったフランチェスカが、醜い自分より、美しい弟のパオロを愛しているのではないかという嫉妬に苛(さいな)まれる。苦悩のランチェオットは枢機卿の命により遠征するこの機会を利用して、フランチェスカの愛を確かめようとして、妻に「自分が戦いに出ている間、パオロに面倒を見てもらうように」と命じる。フランチェスカは従順な妻として、内心の喜びを隠して、夫の命令に従う。

第2場

罠にかけられているとも知らず、パオロ(テノール)は兄ランチェオットの命令通りに、恋しいフランチェスカを護衛していた。フランチェスカが、『アーサー王伝説』の中にある「騎士ランスロットと王妃グィネヴィアの不倫物語」を読む。その物語と自分たちの状況を重ね合わせながら、パオロがフランチェスカに愛を告白する。彼女は最初それを拒否するが、朗読を続けるパオロは、「ランスロット卿とグィネビア王妃が初めてキスを交わした回廊」の場面で、物語に背中を押されるように、フランチェスカを抱き寄せ口づけをする。その至福の瞬間、物陰から二人を見張っていたランチェオットが躍り出て、短剣でパオロとフランチェスカを切り裂いてしまう。嫉妬に狂ったランチェオットの残忍な笑い声に送られ、この世の全ての呪いを負って、愛し合う二人は地獄へ落ちて行く。

エピローグ

物語は終わり、再び地獄の情景に戻る。呪われた群衆の呻(うめ)き声が、ヴァージルとダンテのまわりを渦を巻いて通り過ぎる。悲劇の二人が愛しあったほんの僅かな至福の時。二度と戻らぬその瞬間を地獄の底で永遠に思い出し続ける絶望。それがフランチェスカとパオロに課せられた拷問であった。ダンテは永遠に続く悲しみに同情して、静寂のなかに佇(たたず)み、幕となる。