Skip to content

♪ Parsifal「パルジファル」

by hidepost, le 4 fév 2022

作曲:Richard Wagner(ワーグナー1813~1883)

内容:「舞台神聖祝典劇」と銘打ったこの楽劇(オペラ)は、中世ドイツの詩人W. von Eschenbachの「パルツィヴァール」をもとにワーグナー自身が台本を書き、彼が建立したバイロイト祝祭劇場での上演を前提にして作曲した唯一の作品で、彼の最後の楽劇である。その神聖で近寄りがたい音楽は難解だが、ワーグナーから逃れられなくなる秀作。

全3幕 ドイツ語

あらすじ

第1幕:
中世のスペインのモンサルヴァート城。この城は、天上の使者から授けられた、キリストが十字架に架けられた時に脇腹を突いた槍「聖槍」とその血を受けた杯「聖杯」が奉納されていて、前城主の先王ティトゥレル(バス)と騎士たちによってずっと守護されていた。城の老騎士グルネマンツ(バス)は、現城主アムフォルタス王(バリトン)が傷の治療のために湖に来るのを待ち、そこへクンドリー(ソプラノ)が、アムフォルタス王の傷のための薬を届ける。クンドリーは目覚めている時は忠実な城の使者だが、魔法使いクリングゾルに眠らされると、その手先になって騎士たちを誘惑する女である。アムフォルタス王は、グルネマンツからその薬を受け取り「この傷を治すには、神のお告げにあったように“同情によって智を得る無垢な愚者”を待つしかないのだ」と呟き、湖に入っていく。グルネマンツは、配下の小姓たちにせがまれて、城で起こった過去の出来事を次のように語りだす。
≪クンドリーは森で寝ていたところを先王ティトゥレルに拾われ、城で騎士たちに仕えているが、彼女はかつてキリストに嘲笑を浴びせたことがあり、決して死ぬことを許されずに時空を彷徨(さまよ)う呪われた女性である。ある時、邪悪な心を持つ魔法使いクリングゾルが騎士団の一員になろうと城を訪ねるが、その魂胆を先王ティトゥレルに見破られ入団を拒否される。そこで彼は魔術を使って、美女たちに騎士たちを誘惑させ次々と破滅させていった。やがて王位は息子アムフォルタス王に譲られ、事態を重く見たアムフォルタス王は、自ら聖槍を携えてクリングゾルを討ちに行く。しかし、魔法をかけられたクンドリーに誘惑され、聖槍を奪われ、そしてその槍で自らの脇腹に傷を負ってしまう。その傷跡は決して治癒せず血を流していて、アムフォルタス王を今に至るまで苦しめている。予言によって、王を救うことができるのは「聖なる愚者」だけなのだ。≫

ここまで老騎士グルネマンツが物語った時、森の中で誰かが神聖な白鳥を射落とす。矢を射た若者(テノール)は、自分の名前も、生い立ちも知らないが、不思議なことにクンドリーが彼の母が亡くなったことを告げ、彼は驚く。グルネマンツは、純粋無垢な彼が「聖なる愚者」なのではないかと考え、聖杯の儀式を見せるため城に連れて帰るが、この若者は儀式を見てもその意味を解さないため、城から出されてしまう。

第2幕:
魔法使いクリングゾル(バス)は、またもやクンドリーに魔法をかけてこの純粋無垢な若者を誘惑させるが、彼は興味を示さない。クンドリーは彼の名「パルジファル」と叫び、彼に接吻すると、パルジファルは突然、罪やその苦悩が何であるかという智を得て、アムフォルタス王の苦しみを思い出す。自分の使命を理解したパルシファルは、クンドリーの誘惑を退け、アムフォルタス王の所へ行く道を問いただす。クンドリーがクリングゾルに助けを求め、彼はパルジファルの命を奪おうと、「聖槍」を投げつける。しかし、聖槍はパルジファルの頭上でぴたりと静止し、パルジファルがその聖槍をつかみ十字を切ると、魔法使いクリングゾルの城は崩れ落ち、誘惑の魔法も消え去る。

第3幕:
数年後、森で隠者のように暮らしている老騎士グルネマンツは、クリングゾルの元から逃れてきて倒れているクンドリーを見つけて助けてやる。そこへ甲冑に身を固めた騎士がやって来るので、グルネマンツは「今日は聖金曜日なのだから武器を置くように」と言い、騎士が兜(かぶと)を取ると現れたのはパルジファル。グルネマンツは、「聖槍」を取り戻した彼との再会に感激し、アムフォルタス王が、父王ティトゥレルの葬儀で聖杯の儀式をする役目でありながら、傷の苦痛に耐えられず「自分を殺せ」と死を願っていることを話す。クンドリーがパルジファルの足を泉水で清め、グルネマンツは彼に洗礼を施し祝福する。クンドリーがパルシファルの足に香油を塗って髪でぬぐうと、パルジファルは王として迎えられるように、頭にも香油を塗るようグルネマンツに頼む。パルジファルが、クンドリーの頭に泉水を注いで洗礼を授けると、彼女は生まれて初めて泣くということを知り、グルネマンツが「これが聖金曜日の奇跡だ」と言い、3人はティトゥレル王の葬儀へと向かう。

城では、ティトゥレル王の葬儀の儀式が始まろうとしていて、アムフォルタス王は苦悩の中「我に死を」と叫ぶ。パルジファルが進み出て「聖槍」を王の傷口にあてると、たちまち傷が癒え、パルジファルは新しい聖杯守護の王となることを宣言し「聖杯」を高く掲げる。すると「聖杯」は灼熱の輝きを放ち、天井から一羽の白鳩が舞い降りて、パルジファルの頭上で羽ばたく。クンドリーは静かに息絶え神から救済を与えられて幕となる。