♪ Norma「ノルマ」
作曲:Vincenzo Bellini(ベッリーニ1801~1835)
内容:1831年30歳のベリーニが、成功したオペラ「夢遊病の女」と同じ台本作家ロマーニの台本で作曲した、彼の10のオペラの8番目の作品。 当時の著名な脚本家であったロマーニは、パリ・オデオン座で公開されたLouis-Alexandre Soumet作の同名の舞台劇を観てオペラにすることを考え、手を加えて台本を書いた。主役のノルマ役は、民衆を導く指導者、小さな子どもの行く末を案じる母、そして一人の男を想う女性としての引き裂かれた感情の表現力が要求され、ソプラノ歌手にとって最も難度の高い役の1つ。平和を祈るアリア「清らかな女神(Casta Diva)」は特に有名。
現代人にも通ずる愛憎の三角関係が、美しく凛としたメロディで描かれ、それはまさにベッリーニが「オペラとは我々を歌唱によって泣かせ、震えさせ、死なせるものである」と語るように、ベルカント(美しい声と歌い方)・オペラの醍醐味といえる傑作。
簡単なあらすじ:
占領国ローマの圧政に苦しむガリア(現フランス)の人々は決起の時を待ち望んでいたが、それをドルイド教の巫女長ノルマが必死に阻止していた。実はノルマは、秘かに敵国ローマの司令官ポリオーネと愛し合い、2人の子があったのだ。だがポリオーネの愛は今はノルマを離れ、若い巫女アダルジーザに移っていた。それを知ったノルマは「いっそ子どもを殺して自害しよう」と思いつめるが、アダルジーザがノルマとの友情を取ると彼女を説得し、恋敵である2人の心が美しく共鳴し溶け合う。ノルマにポリオーネを譲り身を引こうとするアダルジーザだったが、彼はアダルジーザのその提案を拒否するので、ついにノルマは決起を決意し戦闘の銅鑼を鳴らす。ローマへ帰国命令が出ているポリオーネは、アダルジーザを連れ去ろうと神殿に侵入し捕らえられ、ノルマは「アダルジーザを忘れるという約束と引換えに、お前の命だけは助けよう」と言うが、彼は取り合わず逆にアダルジーザを助けるように求める。火刑台の準備が整い、愛を失った女の悲しみは英雄的な自己犠牲に昇華され、ノルマは「生け贄にされるべき裏切り者は私だ」と人々に告げる。それを聞いたポリオーネは、ノルマの崇高な行為に「貴女は素晴らしい女性なのに、自分はそれを知るのが遅すぎた」と許しを請い、彼女とともに火刑場へと向かい幕となる。