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♪ Giovanna d’Arco「ジョヴァンナ・ダルコ」

by hidepost, le 12 sept 2019

作曲:Giuseppe Verdi(ヴェルディ1813~1901)

内容:J. C. v. Schiller(シラー1759-1805)の戯曲「オルレアンの少女」(1803年)を基に、有名な「ナブッコ」の台本を書いたT. Soleraが改作し台本を書いた。作曲者の前期第7作目のオペラで、題名は仏語「ジャンヌ・ダルク」をイタリア語にしたもの。随所に美しい曲があり32歳のヴェルディの進歩が垣間見える。 プロローグ付き全3幕 イタリア語

あらすじ:

プロローグ

第1場 フランス軍の兵士たちとドンレミーの民衆が、オルレアンの戦況を心配している。現れたフランス王カルロ7世(テノール)は、これ以上民の苦しみを見るに忍びないと、退位して英国王に国を渡すことにすると述べる。群衆はカルロ7世を止めるが、「祖国が少しでも難を逃れるために王冠を棄てて、森の聖母マリアの祠(ほこら)の前に兜と剣を置けという聖母のお告げがあったのだ」と言って勇士デリル(テノール)と行こうとする。人々はその場所には魔女が現れると心配するが、押し切って出かける。

第2場 森の中ではジョヴァンナの父で羊飼いのジャコモ(バリトン)が、娘ジョヴァンナが悪魔の集会に来ているのではと心配して、様子を見ている。そこへジョヴァンナ(ソプラノ)が、聖母マリアの祠(ほこら)に1人現れ「フランスを救うために兜と剣を与えたまえ」とアリアを歌い、疲れてそこに寝入ってしまう。そこへ国王カルロ7世が現れ、兜と剣を置いて祈る。眠るジョヴァンナに、悪魔が「人間的な愛の喜びを忘れるな」とささやき、天使たちが「おまえの欲しい剣と兜はここにある。フランスはおまえによって解放されるであろう。しかし人間的な愛情を受け入れると、すべては終りだ」と歌う。突然ジョヴァンナが起き上がり、兜と剣を取り「フランスを救うために戦う時が来た」と叫ぶ。王は奇蹟だと驚き、彼女と共に戦う決意をする。それを見た父ジャコモは、娘が悪魔に身を売ったと嘆く。

第1幕

第1場 長い遠征に疲れた英国兵たちは、帰国を望む合唱をし、仏軍のジョヴァンナの神秘的な姿と不思議な力について語る。英国軍の指揮官タルボ(バス)は、ジョヴァンナの奇蹟を信じず、臆病心がそう思わせるのだと兵を励ます。そこへ、娘が父を裏切ったと思い込んでいるジャコモが現れ、タルボにジョヴァンナを英国軍に引き渡すと持ち掛けて、タルボと退場する。

第2場 英国軍を破ってランスに入城し、カルロ王の戴冠式を迎えるばかりのジョヴァンナは、戴冠式が終われば自分の使命も終わるので、故郷に帰って元の生活に戻りたいと願っている。そこへ国王が現れ、秘めていたジョヴァンナへの愛を打ち明け、彼女は拒むが、ついに王の胸に抱かれてしまう。すると天から「もし俗界の愛を受け入れれば大変なことになる」という声がして、ジョヴァンナは驚いて身を引く。そこへ勇士デリルが他の士官と現れ、ジョヴァンナに軍旗を渡し、国王の戴冠を民衆が待っていると2人を教会に促す。ジョヴァンナは 恐怖に襲われて悩み、悪魔たちの「我々が勝った」という合唱が聞こえる。

第2幕

ランスの大聖堂の広場では、群衆がフランスの勝利を祝い、ジョヴァンナを讃えている。そこへ父ジャコモが現れ、娘が悪魔に身を売ったと思い込んでいる彼は「老人の希望は娘だけだったのに」と歌う。教会から讃美歌が聞こえて戴冠式が終わり、ジョヴァンナが逃げるようにして出てくる。王が彼女を引き留め、彼女の功績を讃えて教会を建てようと誓うが、そこへジャコモが進み出て「この娘は森で悪魔と契約した魔女だ」と証言し、群衆は驚く。雷鳴がとどろき、人々も「魔女は出て行け」と罵(ののし)り、王は彼女に「身の証を立てよ」と言うが、神のお告げに背き、世俗の愛を受け入れたことを悔いているジョヴァンナは何も言わない。群衆は彼女を罵(ののし)り、王も彼女を護れず混乱する。

第3幕

ジョヴァンナはフランスから追放されて、アルデスの森で英国軍に捕らわれて要塞の一室に繋がれている。彼女は、再び仏軍とともに戦いフランスを救いたいと天に願い、「サウルの鎖を砕かれた神よ、私の鎖も砕き給え」と祈る。そこへ忍び込んで来た父ジャコモは、裏切られた今もフランスと王のために祈っている娘の姿を見て、自分の行為を後悔し、娘の鎖を解いてやる。喜んだジョヴァンナは父の剣を抜き、白馬に跨(まだが)り戦場へと向かう。ジャコモは要塞の上から、娘が国王を救い出し、フランス軍を勝利に導くのを見る。凱旋してきた王の前に父ジャコモが進み、自分のジョヴァンナに対する裏切り行為を悔いて許しを乞い、王は彼を許す。そこへデリルが、フランスの勝利と同時にジョヴァンナの戦死を伝え、兵士がジョヴァンナを担架に乗せて運んでくる。人々が冥福を祈る中、父ジャコモが娘が何かを言っているのに気づく。ジョヴァンナは「私は魔女ではありません」と言い、フランス軍旗を求め、王が渡すその軍旗を手に「聖母マリアのお招きによって神の国へ向かいます」と歌う。天から光が差し、悪魔たちが「天の勝利だ。我々が負けた」という声が聞こえる。群衆が「貴女は永遠にフランス人の心の中に生き続けるだろう」と讃える中、ジョヴァンナは息を引き取り、幕となる。