プチポワ独占インタビュー

今の仕事のバランス ダンスカンパニーとソロ活動
―現在はRosas（ローザス）というダンスカンパニーに所属していますが、同時にRosas以外のダンサーや役者、演出家と組んで創作活動をしています。Rosasでは大人数で作品を、ソロ活動では1つの作品のために集まったパートナーたちと共に創るのですが、それぞれに違った魅力があり、両方を経験できる今の状態は理想的な環境です。

ベルギー生活の始まり
―ダンスを学ぶため16歳と9カ月でベルギーに来ました。日本での私はすっかりダンスに魅了されていて、毎週福井県から東京までダンスのレッスンに通うほどでした。自分はこの先どうしていこうかと迷っていた時、ベルギーにあったベジャールのダンス学校「ムードラ」の入学オーディションが日本で開催され、合格。「ムードラ」では本当にダンス漬けの日々でした。朝から夕方までずっとダンスの授業、それ以降も友人と課題の作品創りに取り組んだりしていましたから、あとは家に帰って寝るだけ。街の様子も自分が何を食べていたかも何も覚えていません。ただ、実家が送ってくれたお米の美味しさはよく覚えています。一粒一粒が神々しく輝いて見えました（笑）。また、とても好き嫌いが多かったのにいつの間にか何でも食べられるようになっていました。生活全般に関しては部屋を貸してくれたベルギー人の大家さんが理解ある人で、未成年の私に代わって細々した手続きを大家さんの名前で引き受けてくれました。そこのアパートには私と同じような学生が何人もいたのです。

結婚と出産、子育て ダンスとの両立
―出産するまでは家事も完璧に自分で、と頑張っていました。娘が生まれてからもそうしようと努力したのですが・・・無理でした。今は何もしていません（笑）、というか、お掃除などはお手伝いをお願いしたりしますし、時間があれば夫も家事を手伝ってくれます。その時にできる人が協力してやっています。
―娘が小さい頃から、できる限り私のリハーサルや舞台に連れて行き、私のダンスを観せていました。幸い娘も舞台を観るのが大好きで「踊っている時のお母さんが一番好き」と言ってくれます。今では最も厳しい批評家でもあり（笑）、最も私を応援してくれるファンでもあります。落ち込んでいる時には、娘の一言で勇気づけられることもあります。

仕事を家族の真ん中に
―夫も役者として舞台や映画に出演しています。日によって違う私と夫の舞台、リハーサル、ミーティングなど仕事の予定に合わせて協力し、家族全員がスクラムを組んでどっどっと向かっていく感じ。家族というより同志のようですね。 ベルギーならではの言語環境
―夫はフランドル地方出身なので、家族での会話はフラマン語ですが、娘と私が2人で話す時は日本語を使うようにしています。彼女がベルギーに住みながらも日本のことや言葉をとても好きでいてくれるのは嬉しいです。また、仕事では英語やフランス語も話しますから、1日に4ヶ国語を使うことになります。最初は大変でした。でも、これも10年以上続けていると慣れますね（笑）。

コンテンポラリーダンスを楽しむコツ
―私たちのダンスは、音楽をとても大切にしています。聴き慣れない現代音楽を使う場合も、音楽が「ダンス」という形にビジュアル化されるまで理解を深めています。音楽と動きが深く関係していることが分かっていると、音楽が聴きやすく、動きが観えやすくなってくるのではないでしょうか。また観客の心に、はっとした印象を残すのは、とてもシンプルな動きだったりするのだと思います。ありのままの私たちを観て、楽しんでいただけたらと思います。そして舞台は毎回が勝負なので、その日にしか出せない雰囲気もあります。ベルギーには良い劇場がたくさんありますから、まずは劇場へ足を運んでみてください。