今年はベルギー建国１７５周年の記念の年。７月２１日の建国記念日には、ロジェ広場で花火が上がりました。
今回の銅像めぐりは、地下鉄の駅名や広場に名をとどめている、シャルル・ロジェ。ベルギー独立当時の主要メンバーで、その後首相を務めた人です。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　ロジェは、フランス生まれ。父はフランス軍の将校でした。１２歳の時、父がロシアとの戦争で亡くなったため、長兄が住んでいたリエージュに家族で移住します。 法律家として働く一方、２４歳の時にジャーナリストとして「Mathieu Laensbergh　（のちに　Le Politique ）」という新聞の創設に関わりました。この新聞が、後にベルギー人の愛国心を育て、独立への道を開くきっかけになったと言われています。

　１８３０年８月、オランダからの独立運動がベルギーで起こると、ロジェはリエージュの武装集団を率いて参加し、独立の指導者となります。
暫定政権の主要メンバーとなったロジェは、オランダとの休戦協定を取りまとめ、新たな国民議会のメンバーとしてベルギー独立宣言を支持し、１８３１年に初代国王となったレオポルド1世を補佐します。
　
　１８３２年、内務大臣となったロジェは、ヨーロッパで初めての鉄道建設計画を進め、国内経済の復興に努めます。
　
　アントワープの知事を務めたあと、１８４７年、４７歳で首相に就任。４８年に選挙法を改正、５０年には宗教色を排除した教育法を制定します。彼の２回目の首相在任期間（１８５７〜６７年）には、海運問題も全て解決するなど卓越した政治手腕を見せました。１８６７年に政界を引退した後も、７０年代まで政治に影響力を与え続けました。

　もうひとつ、彼のエピソードとして見逃せないのは、ベルギー国歌「La　Brabanconnne」の最終的な歌詞を作ったことです。 独立当初の歌詞には、オランダの王家に対する辛らつな言葉がありましたが、１８６０年、首相だったロジェは隣国に配慮し、この表現を穏やかなものに書き換えたのです。彼の作った歌詞が、今でも歌われている国歌となっています。（国歌にまつわる話はプチポワ２００４年６月号に掲載されています）