いよいよクリスマスシーズン、ご自宅でツリーやイルミネーションの飾りを楽しまれる方も多いかと思います。さて、このクリスマスツリー、いったいどういう意味があるのでしょうか？その起源は諸説ありますが、ツリーを飾りながら、思いをはせてみましょう。

　なぜクリスマスは12月25日なの？
それはイエス・キリストが生まれた日だから…というのはもっともなのですが、実はイエス・キリストの誕生日がいつなのか、はっきりとした記述はありません。古代ローマでは12月25日に太陽神を祝う冬至祭りが行われており、また、もともとクリスチャンが12月にイエス・キリスト生誕を祝っていたこともあり、キリスト教布教のため、異教徒にも受け入れられやすいように、冬至祭りをイエス・キリストの誕生日と決めたのだそうです。これが公式となったのは紀元375年のこと。ただしこれは西方教会の取り決めで、東方教会では1月6日としていました。

ヒイラギ、ヤドリギ、モミの木、どれが本物の飾りなの？
　どれも常緑樹ということで共通していますが、古い慣習の中でも、永遠の生命のシンボルとして、暗く夜の長い冬の間、緑あふれる春が訪れるのを祈りながら、家の中に飾られていました。クリスマスの日の起源でもわかるように、古代信仰とキリスト教をうまく融合させていく過程で、クリスマスの飾りも形を変えてきました。
　木の葉を家の中に飾る風習は、キリスト教布教以前のヨーロッパで広く行われていました。古代の人々にとってカシの木などに寄生するヤドリギは生命力にあふれ、子宝を恵み家庭に幸福をもたらすものと信じられていたようです。そこで、ヤドリギのリースがクリスマスに飾られるようになりました。ヒイラギは古代ローマ時代の収穫祭の飾りでした。このヒイラギは、棘がキリストのいばらの冠を連想させ、赤い実はイエス・キリストの流した血を象徴するものとして、キリスト教の解釈に都合のよいものとして取り入れられ、ヤドリギに代わって、ヒイラギのリースが飾られるようになりました。ヤドリギも、今でもクリスマスの飾りとして家の中に吊るされることがありますが、その枝の下でキスをするという風習が残っています。

モミの木のクリスマスツリーはドイツが起源
さて、いよいよ本題。
　8世紀頃、イングランドの伝道者ボニファティウスが、ドイツのヘッセンを訪れた時、カシの木に生け贄としてくくりつけられていた少年を助けようと、カシの木を切り倒しました。倒れたカシの木のそばにモミの木の若芽があるのを見つけたボニファティウスはこれをキリストの奇跡に結び付け、信仰のシンボルとしたという故事があります。
　また、16世紀初め、宗教改革のきっかけをつくったドイツのマルチン・ルターが、クリスマスイブの礼拝の帰り道、星空があまりにも美しいので、これを再現しようとモミの木にローソクを飾りました。その後、ドイツではクリスマスツリーを飾るのが一般的になっていきました。また、ツリーにはローソクだけでなく、いろいろな飾りをつけるようになりました。
　クリスマスツリーを飾るという習慣は、19世紀、ドイツ移民によってアメリカに伝えられました。また、イギリスでは、ビクトリア女王の夫君アルバート公がウインザー宮殿で飾ったのが始まりとされています。