あらすじ　

第1幕
スイスの水車小屋の娘アミーナ(ソプラノ)と金持ちで若い地主エルヴィーノ(テノール)の婚約式。若者達が集まって祝いの歌を歌うが、エルヴィーノを好きな旅籠（はたご）のおかみリーザ(ソプラノ)は浮かぬ顔をしている。彼女に付きまとうのは、農夫アレッシオ(バス)であった。アミーナが現れ挨拶し、アレッシオは自作の祝いの歌を皆で歌って聞かせる。エルヴィーノが公証人を連れて来て2人は指輪を取り交わす。そこへ、気品のある紳士が現れるが、村人達は誰もそれが子供の時に攫（さら）われたこの土地の領主ロドルフォ伯爵(バス)だと気がつかない。花嫁を紹介された伯爵は、彼女の美しさを褒め、嬉しがる彼女を見たエルヴィーノは穏やかではない。村人達が、夜になると幽霊が出ると言いながら帰ろうとするのを聞いた伯爵は、興味を持ち、リーザの旅籠に泊まる事にする。皆が去った後、エルヴィーノは伯爵に対する嫉妬心からアミーナを責めるが、彼女は彼を愛している事を誓い愛の2重唱を歌う。リーザの旅籠で伯爵が一休みしていると､リーザが現れ、彼がここの領主だという事を聞きこんで来た彼女は、それとなく秋波（しゅうは）を送る。2人が仲良くしている所に物音がするので、リーザは慌ててスカーフを落として出て行く。純白のガウンを着たアミーナが夢遊病者となって現れ、伯爵はこれが幽霊の正体であったと見抜き、彼女がソファで眠ってしまうのを見て、彼女を驚かさない様にと部屋を出て行く。一部始終を見ていたリーザは、エルヴィーノの所に告げに行く。伯爵が、この国の領主だと知った村人達が挨拶をする為に部屋を訪れるが、伯爵はおらず娘が寝ているので皆は帰ろうとする。そこに　エルヴィーノとアミーナの養母テレーザ(メゾソプラノ)が、リーザに連れられて来る。エルヴィーノは伯爵の寝室でアミーナが眠っているのを見て驚き怒る。物音にアミーナが目覚めるが、怒った彼は｢もう結婚しない｣と言い、彼女は何故ここにいるのか説明できず、ついに気を失ってしまう。一人リーザがほくそえむ。

第2幕　
村人達は、伯爵にアミーナの潔白を証明してもらおうと城に向かう。テレーザも、娘の潔白を証明して貰う為に彼女を連れて行く。エルヴィーノが、淋しく｢全ては終わってしまった｣と歌うのを聞いていたアミーナは、勇気を出して自分の無実を精一杯訴える。村人達が城から戻り、伯爵がアミーナの潔白を証明したと告げるが、嫉妬に狂ったエルヴィーノはそれを信じず、彼女の手から指輪をもぎ取ってしまう。リーザが言い寄るアレッシオを適当にあしらっている所へ、村人達が｢エルヴィーノがリーザと結婚したいと言っている｣と告げ、彼女は喜び、本当にエルヴィーノがやって来て彼女に求婚するので有頂天になる。そこへ伯爵が現れ、アミーナが夢遊病であると説明して彼女の潔白を証明するが、彼は信じない。テレーザが来て、エルヴィーノがリーザと結婚すると聞いて驚き、リーザが伯爵の寝室に落としていったスカーフを彼に見せて、リーザの方こそ浮気女だと非難する。エルヴィーノはリーザも又裏切り者だったのかと嘆く。その時、水車小屋から白いガウンを着たアミーナが現れ、眠りながら｢昨日の幸福がこんなに早く駄目になってしまうなんて｣と歌う。そのいじらしい姿を見たエルヴィーノは､彼女の潔白を信じ、指に指輪を返してやる。村人達が大声で｢アミーナ万歳｣と言う声に目を覚ましたアミーナは、彼が誤解を解いてくれた事を喜び｢最高に嬉しいの｣を歌い、皆もそれに加わって幕となる。