レストランガイド

レストランガイド「ミシュラン」2011年版が発表され、ブリュッセルとその近郊の3つのレストランが、
新しく1つ星を獲得しました。早速、“食”担当スタッフが取材にと勇んだのですが、
さすが星を獲得しただけあって予約は難しい。
　今月は、星を獲得した日本料理「KAMO」とミシュランの星に縁のある
ベルギー・フランス料理「Bouchery」「Bozar Brasserie」を紹介します。
どの店も若手シェフによる、素材を生かした料理。お皿1つひとつが芸術品でした。

	KAMOは、シェフの賀茂友康さん（38）が、妻の真樹さん、いとこの後藤剛司さんと始めた和食レストラン。2007年9月の開店以来、地元の人にも人気の和食スポットとなっており、客の80%はヨーロピアン。賀茂さんは日本で調理師学校を卒業後、レストラン田川で7年働き、さらに10年日本で日本料理を勉強した。現在は日本料理全般を提供しているが、得意分野は寿司、刺身以外の和食。いずれは得意分野だけで勝負したいという夢がある。多くのリピーターに満足してもらう新作料理はどうやって生まれてくるのかという問いに、営業後の同業者との情報交換で料理のヒントを得ているという答え。季節感のある料理を提供できるよう月2回メニューを替えているが、これにも毎日の勉強は欠かせないという。当地で手に入る食材を使って和食を作るため、週3回の早朝マルシェ通いと業者専門店での仕入れは自らの足で出向く。それゆえ新鮮な食材がシェフの料理の技とセンスをかきたてる。また、料理だけでなく心のこもったサービスを大切にするスタッフのおもてなしは、訪れる人に一層の満足感を与えている。「新感覚のビストロ」「接客は満点」というベルギー人からの批評の通り、それぞれのテーブルで、和食を味わいながら和やかに会話を楽しむ風景が見られた。昼はランチ、定食、昼のコースのみ。写真は、昼のコース（40ユーロ）。昼は無料で日本茶が付く。
	1つ星レストランBistrot du Mailで1年働いた後、オーナーシェフとして店を開いたDamian Boucheryさん（32）は、フランス・ブルターニュの出身。2010年 7月にオープンした店は、 2008年までミシュランの1つ星を獲得していたレストランがあったところ。ミシュランと縁のあるシェフの店内をのぞいてみると、白とトルコブルーを基調にした清潔感あふれるコンテンポラリーな内装だ。夏はテラスでも食事ができる。朝 8h30から遅い日には25hまで働いているというシェフ。「レストランは、日頃家庭で食べられないものを提供するところ。だからパンにもこだわっている」と自家製のパンを出してくれる。ランチは2品Euro　19と3品Euro　24 の2種類。夜のメニューは Tentation　Euro　65、Instant　Euro 35 （写真）がある。I n s t a n t は、何が用意されるか分からない。食べられないものだけを伝えると、その日の仕入れにより、シェフのインスピレーションを発揮した料理が出てくる。サプライズが好きな方向き。下記「Bozar Brasserie」のシェフからも推薦された店。足を延ばして、洗練された料理を堪能する価値がありそうだ。
	10年間眠っていたBozarのブラッスリーが目を覚ました。仕掛け人は、2008年、ミシュランの1つ星を獲得したブラッスリー「La Paix」のシェフDavid Martinさん（39）。1928年にボザールが建設された当時の趣を大切に残した店内は、調理場との仕切りがない。通りからも、シェフの指示に従いながら数人のスタッフが忙しそうに動く様子が伺える。2店を切り盛りするシェフに「週末も働いているの？」と尋ねると、「子どもがいないから大丈夫だよ」との返事。店内を回って、客との会話を楽しむシェフの姿からエネルギーが発散していた。メニューをのぞいてみると、日本風という言葉が目に付いた。ランチも“Bento”と名付けられている。日本から取り寄せた味噌やだしを使った味付けが注目されているようだ。注文したサラダ“Dujardin”は、大根、にんじん、玉ねぎ、二十日大根、カニなどが入った和風の味付け。まさに“なます”だった。ブラッスリーとしては、ちょっと高めの値段だが、ノンストップなのでコンサート前に軽く 1品や鑑賞後のお茶と利用の仕方はいろいろありそうだ。日曜の昼は、満席となる人気なので、予約をして時間がタイトな場合は、その旨を伝えておいたほうが無難。少々騒がしいが、これもまたブラッスリーの味。