このお祭りの歴史は古く、14 世紀にさかのぼり、今年で656 回目を数えます。1348～1350 年、欧州では歴史的なペストの大流行に見舞われました。しかし、モンスのペスト被害が比較的少なかったのは、モンスの守護聖女Waudru (ウォードリュ) のご加護だとして1349 年、守護聖女ウォードリュにちなむ大行列が催され、これがお祭りの始まりとされています。大行列では、黄金の馬車に続き、街の人々が中世の衣装を身にまとい、中世にタイムスリップしたかのようになります。黄金の馬車が無事に教会にたどりついた後、グランプラスでは次のメインイベントが始まります。
1380 年から加わったのは、Lumecon (＝戦い) と呼ばれるSaint Georges とドラゴンの戦いです。この戦いは
街の人々に親しまれている「Le Doudou (ル・ドゥドゥ)」の音楽が鳴り響く中で繰り広げられます。お祭り自体は前後1 週間にわたりますが、メインとなるイベントは、この2 つで構成されています。
黄金の馬車と大行列
(Descente de la Chasse de Sainte-Waudru)
■7 世紀、Comte de Hainaut の娘Waudru によって創設された礼拝堂が、その後現在の聖ウォードリュ参事会教会となりました。この教会にまつられているSte-Waudru の聖遺物箱は、お祭りの前日、教会の祭壇から降ろされ、黄金の馬車(Car d'Or) と呼ばれる山車に乗せられ街を練り歩きます。
午前中に出発した黄金の馬車と大行列ですが、お昼には教会へ戻ってきます。昔から教会へ戻る坂で立ち往生すると災いが起こるといわれているため、街の人たちはここで悲鳴を上げながら山車を一気に押し上げます。
 ■悪魔と野蛮人を従者とするドラゴンと架空の動物「シンシン」を従えたSaint Georges がグランプラスで戦います。楽隊によるラッパが鳴り響く中、体力に自信ありげな何千人もの男たちが群がります。
ヘルメットをかぶり、赤の縁取りの黄色のガウン、細身の白いパンツに黒いブーツの戦士がこの戦いのヒーローSaint Georges です。裸の男たちのお目当ては、ドラゴンのしっぽの毛(実は馬のしっぽ)。これのわしづかみがお祭りのハイライト。押し合いへし合いのムチャな奪い合いのため、けが人続出です。観客席は年初めからすでに予約でいっぱいですが、この迫力は遠くからでも充分満喫できます。
モンス市内と近郊の見どころ
聖ウォードリュ参事会教会
Collegiale Ste-Waudru
7 世紀半ばに建てられ、そ
の後度重なる再建で現在の
ブラバン・ゴシック様式の教
会に。お祭り以外の日、黄金
の馬車はこの教会内に保存
され、いつでも見学可能。
鐘楼Beffroi
ベルギーで唯一現存するバロック様式。
47 のカリヨンがある。
市庁舎(Hotel de Ville) 前の猿
左手で頭を触ると向こう１年間、
幸運が訪れるということで、サルの頭はテッカテカ。
ゴッホの家Maison de Van Gogh
Mons から南西へ3.2km。1879～1880 年に巨匠ゴ
ッホが、はじめてベルギーで住んだ家。ゴッホの部
屋には、弟テオへの直筆の手紙などの品々が。
入場料：5 ユーロ
12 歳以下無料
10ｈ30～18ｈ30
(休：12h30-13h30)
休館：月曜
Rue du Pavillon 3
7033 Cuesmes
(プチポワ2007 年6 月号参照)
Photo: Mons観光局 |
