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ベルギーのホットトピック 12月 半年前の総選挙から始まった新政府設立の話し合いは、巡りに巡り、こじれにこじれたまま年の瀬を迎えた。ベルギーは、史上最長の無政府記録を日々更新し続けている。半年間の主な出来事を振り返ってみると… 6月10日: キリスト教民主フランドル党(CD&V)とフラマン新連合(N-VA)、150議席中30席を占めて勝利。CD&V党首Yves Leterme氏はフラマン地方にもっと自治権を与えるようベルギー国家機構の抜本的改革を、との公約で80万の大量票を獲得。しかし残り120議席は各政党に散ったため、連立政権設立は困難な選挙結果に。 6月12日: 国王アルベール2世、フランス語系リベラル党のDidier Reynders氏を市民の有識者などから意見収集をする役に任命。 6月28日: 政府がない状態のまま、下院と上院で新規選出議員が議会を開会。 7月4日: Didier Reynders氏、国王に報告書提出。 7月5日: 国王、状況の複雑さに鑑(かんが)みJean-Luc Dehaene元首相(1992~95, 95~99在職)を仲介役に指名。
8月23日 : Yves Leterme氏、両言語系政党の国家機構改革を巡る意見の不一致を打破できず辞任。国王、下院議長Herman Van Rompuy (CD&V)を各政党の歩み寄り仲介役に任命。 9月29日: 国王、Van Rompuy氏の努力で歩み寄りが充分可能な状況に達した、として再びYves Leterme氏を交渉役に任命。その後、各党代表は社会経済問題での合意に達したが、国家機構改革問題は進展せず。 11月7日: 1987年の無政府記録148日を破り、史上最長記録更新に。この日、フラマン政党はBrussel-Halle-Vilvoorde選挙区改編の法案可決案を下院特別委員会で投票。これを受けたフランス語圏政党は、両言語圏政府が歩調を合わせてきた地域問題でその伝統が破られたとして猛反発。政府設立交渉も中断される。 11月9日: 国王、新たな仲裁役にHerman Van Rompuy氏 とArnaud De Decker氏(フランス語系リベラル党)を任命。数日後De Decker氏が発表した解決案にVan Rompuy氏が反発。フランス語国営テレビRTBFは、仲裁役にも仲裁が必要なのでは、との批判発言。 11月18日: 首都ブリュッセルで市民3万5千人が国の存続を願いデモ行進。フラマン語系メディアは開催案内を報道せず、参加者の3/4はフランス語系市民だった。 11月23日: フラマン語日刊紙Het Nieuwsblad、「Non, Madame Non」との見出しでフランス語系キリスト教民主党首Joelle Milquet氏の交渉態度を批判。 11月26日: オレンジブルーの参加3政党グループ、国家機構改革の準備を国会議員からなる特別委員会に任せる原則で合意。 12月1日: Yves Leterme氏、最善の努力にも関わらず両言語政党間の合意を取り付けられなかったとして交渉役を辞任。 12月3日: 国王、現首相で先の選挙の敗北政党のGuy
Verhofstadt氏を、各政党と討議し改めて交渉テーブルを開始するためのまとめ役として任命。暫定臨時政権設立案も出ているが、まだ実現のめどは立っていない。
年内に新政府が設立される見通しはほとんどない。1月5日には、1977年のオランダを破り、ベルギーがヨーロッパの無政府期間最長記録を更新することに。長かった半年はまもなく成果のないまま終わる。次の半年に何が起きるか、まだ誰にもわからない…。 (情報は12月13日現在)
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