ベルギーのホットトピック 3月
ドラゴン疑惑

   今年2月初め、フラマン語テレビeen の報道番組<De Zevende Dag>でフラマン語週刊誌<Panorama>の記者が、今年度のベルギーサッカー1部リーグ戦のうち7試合が中国マフィアによる八百長試合だった、という疑惑をスクープした。 この疑惑を暴いた記者らは、上海の賭博界に潜入取材し、そこで得た証言から、八百長試合のあったことを突き止めたという。 同記者らは明確な証拠を提示するには至っていないものの、仕組まれた7試合のうち、6試合までが<ラ･ルヴィエール>クラブに関連している、ということだった。

   このスクープに端を発した疑惑は「オペラシオン・ドラゴン」と名づけられ、その後シルヴィアナ・ヴェルストレーケン検事による調査が既に数週間続けられている。 司法当局のこれまでの調べでは、同じ1部リーグ<リエルス>クラブ所属の複数のプレーヤーが、故意に負け試合を行う代わりに金銭を受け取ったことを認める証言をしている。 また、リエルス以外のクラブも疑惑に関係しているはずだ、とも話しているらしい。 証言にはラ・ルヴィエールの他に<シント・トルイデン>のクラブ名も頻繁に登場しているという。

   3月に入り、ベルギー国内の有力日刊紙各紙はこの疑惑について大々的に取り上げはじめた。 記事によると、ゼユン・イェーと名乗る“中国人実業家”がラ・ルヴィエールクラブ獲得に乗り出しており、既に現オーナーのフィリッポ・ゲーン氏に手付金50万ユーロを支払った。 そして、残金の支払いをリーグ戦の勝敗を操作することによる賭博の儲けで捻出しようとしていた、というのだ。 ラ・ルヴィエールクラブのトレーナー、ジルベール・ボダー氏が借金による困難な経済状態にあったために誘惑に負けた、という説も出ている。 調べによると、同クラブの弁護士ローラン・デニスと選手の代理人ピエトロ・アラッタがボダー氏に圧力をかけ、特定の試合で負けるよう仕組んでいたらしい。 ブリュージュ対ラ・ルヴィエール戦のハーフタイムには、ボダー氏の家族に脅迫電話がかかった、との情報も寄せられている。

   当のジルベール・ボダー氏は、現在のところ八百長疑惑への関与を一切否認している。 そして疑惑の中心である謎の中国人イェーの居所は不明だ・・・。

   この手のスポーツ八百長疑惑はベルギー以外でもよくある話。 最近ではドイツでも同様の疑惑が報じられている。 今回のオペラシオン・ドラゴン、疑惑の中心が中国マフィア、というあたりが話をますますミステリアスにしている感も。。。