6月までのラテン語の月の名は神様の名前から来ていましたが、7月以降は何番目の月、というように数字が元となっています。7月、8月は皇帝の名前からとっていますが、もともとはそれぞれ「5番目の月」、「6番目の月」と呼ばれていました。

★数字が合わない理由
　ユリウス暦が採用される以前の暦では、7月以降は次のようになっています。

　なぜ7月が「7番目の月」、8月が「8番目の月」…となっていないかというと、古代ローマ・ロムルス王の時代、1年は春分の日に始まり、現在の3月にあたるMartiusが1番目の月だったので、数字が2ずつずれてくることになるからです。（シリーズ（3）の表参照）
　ユリウス暦制定の時、7月はカエサルが自分の名前をとってJulius、またアウグストゥスの改暦の時に、8月はオクタビアヌスが自分の称号であるアウグストゥスからとってAugustusと改称しました。

★あやかりたかった皇帝たち
　自分の名前を月につけようとした皇帝は２人だけではありませんでした。
　オクタビアヌスの養子で、彼の次の皇帝となったティベリウス帝は、自らの提案ではなく、家臣からティベリウスの誕生月である 11月を改称するよう進言されます。しかし、賢帝とうたわれたティベリウスはこれを退けます。理由は、同じように月を自分の名前に改称する13人目の皇帝が現れたら困る、というものだったとか。
　暴君で知られる第5代ネロ皇帝も負けてはいません。彼は4月を｢ネロネウス｣と改めました。また、第9代ドミティアヌス帝は10月を自分の名前に改称しました。もっと大胆な行為に出たのは、第15代コンモドゥス帝。彼は12か月をすべて自分の名前に変えてしまいました。
　彼らの死後、すぐにその名前は取り消され、皇帝たちの「野望」ははかなく消え去ったというわけです。