月の名前の由来(4)
変わり目のお話
桜咲く4月、日本人にとっては新年度の始まりというイメージがありますが、暦の歴史を見ると、西欧でも春分の日のある3月末に新年が始まったとすると、同じようなイメージがあるといっていいかもしれません。暖かくなると気分も陽気になり、うかれたことのひとつもやりたくなる人もいるようで…。
★花開く月
日本語の4月の異称は卯月(うづき)。十二支の卯の月、つまり4番目の月、あるいは「苗植月(なえうえづき)」が転じたものともいわれます。他に、卯の花(ウツギの花)が咲く頃の月、という説もあります。
英語はApril(仏語Avril、蘭語April)。ラテン語ではAprilis(開花の月)で、aperire(開く)から派生しています。また、ギリシャ神話の女神アフロディテAphroditeに捧げる月とも言われています。また、古代インドのベーダ梵語のaparas(続くもの)が起源で「2番目」の月が原義であるという説もあります。なぜ2番目の月かというと、これまでのシリーズで既に説明しているように、以前は今でいう1、2月がなく、3月が1番目の月だったからです。
★諸説紛々、エイプリルフールの起源
エイプリルフールの起源は諸説あります。聖書から2つ。洪水がひく前にノアが方舟から鳩を放ったのが4月1日で、陸地に降りられなかった鳩はノアにだまされた、という話。2つ目は、イエスがピラト総督からヘロデ王のもとに送られ、また戻ってきた日で、誰かに無駄足を踏ませること、「愚者の使い」を意味するという説。古代の春分祭から生まれたという説もあります。この季節の変わり目には、古い世界が死に、新しい世界が生まれるというイメージから、奴隷が主人を支配したり、子供が親にいたずらをしたり、という上位逆転が許され、だましあったり、ばか騒ぎをしたり、いわゆる無礼講があり、これが「ウソをついてもいい日」となったという説です。
暦の観点からいうと、1564年、フランス王シャルル9世がグレゴリウス暦を採用し、年の始まりを1月1日にするという勅令を公布しました。それまでの新年である4月1日に贈り物を交換する習慣があった人たちにとって、新暦採用後に新年の行事を1月1日に移すかどうかが問題となりました。古い習慣を捨てなかった人たちは4月1日を新年として祝い続けたのですが、これをからかって空の箱を贈りつけたり、ウソの招待状を送ったりしたのが、今のエイプリルフールにつながったということです。
仏語ではポワソンダブリルPoisson d’Avril(4月の魚)と言います。これは、3月20日まで黄道十ニ宮の魚座にあった太陽が、4月1日には牡羊座に移動しており、この日に贈り物をする人を「時代遅れの人」という意味で、魚にかけてこう呼ばれたということです。また、4月に孵化したしたばかりの稚魚はルアー(疑似餌)だけで簡単にだまされて釣られてしまう、これを4月の魚と呼び、人をだましてもいい日になったという説もあります。
「愚行は4月1日の深夜に始めてもよいが、正午までに終わらせること」というルールがあるとか。皆さん、今年はどんなウソをつきましたか?

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