プロローグ
「運命」「徳」 「愛」の3人の女神が、我こそが最も偉大な神であると論争する。これから始まるドラマによって「愛」が1番強力である事が証明されるだろうと言う。
第1幕
ローマの武将オットーネ(アルト)が戦地から戻ると、愛する妻ポッペアの家に皇帝ネローネの護衛兵がいて、妻が主君のネローネになびいた事を察する。護衛兵達がネローネの行状や皇后の気の毒な現状などの噂をする。逢引から帰る皇帝ネローネ(ソプラノ)にポッペア(ソプラノ)がまつわりつき、彼は皇后を片付けるまではポッペアを皇后には出来ないと言い帰って行く。ポッペアの乳母アルナルタ(アルト)が、皇后がネローネとポッペアの仲を知り復讐しようとしているから気をつける様にと忠告するが、ポッペアは気にとめない。一方、ネローネの后オッターヴィア(メゾソプラノ)は、夫の浮気を激しく嘆き、乳母(メゾソプラノ)に慰められる。哲学者セネカ(バス)が現れオッターヴィアに不変の徳を説き、彼女はセネカに夫に忠告して欲しいと頼む。1人になったセネカの所に、知恵の女神パラーデが現れて「お前は近々死ぬだろう」と予言するが、彼は動じない。ネローネが「子供が出来ない皇后を追放してポッペアを皇后にする」と言い、セネカが激しく諌めるので、ネローネは激怒する。ポッペアの寝室で、彼女はネローネに言葉巧みにセネカの事を告げ口して、怒ったネローネは衛兵隊長を呼びセネカに自殺を命ずる。夫オットーネはポッペアに思い直すように迫るが、彼女は応ぜず姿を消す。そこへオットーネを慕う女官ドゥルシルラ(ソプラノ)が彼に近づき、オットーネもポッペアへの腹いせに彼女の相手をするが、心中ではポッペアを忘れる事が出来ない。
第2幕
使いの神メルクーリオ(バス)の声がセネカに死の時を告げるが、彼はむしろそれを歓迎する。そこへ衛兵隊長がネローネの命令を伝え、セネカは引き止める友人達に別れを告げて死んでいく。ネローネはセネカの死を祝っての宴会で、愛の歓びを歌う。オットーネは不貞の妻ポッペアを殺そうと思うが、いまだに彼女を愛している為に出来ない。皇后オッターヴィアが、彼にポッペアの殺害を脅して命じ、彼は女装してポッペアに近づく為にドゥルシルラに衣装を借りる事にする。皇后の座を夢見るポッペアが愛の神に祈りを捧げ、乳母アルナルタは「その時には私の事もお忘れなく」と言い、ポッペアは彼女の子守歌で眠りにつく。愛の神が天から降りて来て何も知らずに眠るポッペアに「お前は私が守る」とアリアを歌う。そこへドゥルシルラの衣装を着けたオットーネが現れ、ポッペアを殺そうとするが、愛の神に阻まれ、オットーネは逃げ、アルナルタが後を追う。
第3幕
ドゥルシルラがオットーネの愛を得る幸せを歌うが、アルナルタがポッペアの暗殺未遂の犯人はドゥルシルラであると指摘し、彼女はオットーネを信用した事を後悔する。
アルナルタはネローネの前でも同じ証言をして、初めは無実を主張したドゥルシルラも、オットーネへの愛の為に罪を着る。ネローネは彼女に死刑を命じるが、そこへオットーネが「真犯人は皇后の命を受けた自分である」と進言する。全てが好都合になったネローネは、オットーネとドゥルシルラを国外追放にして、皇后オッターヴィアにも永久追放を命じる。思い通りに事が運んだネローネとポッペアの愛の2重唱。オッターヴィアはローマとの別れに傷心の念を淋しく歌い、一方アルナルタは皇后の侍女となった未来を喜び歌う。ポッペアの戴冠式となり、人々が新しい皇后を讃えて合唱し、ポッペアとネローネの愛の2重唱が歌われて幕となる。
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