西洋補助医療事情 その1:キネジセラピー

整体、接骨、針灸など、日本では東洋医学系の技術でおなじみの補助医療分野(正式には「医療類似行為」)ですが、ところ変わってここヨーロッパではキネジセラピー、オステオパシー、ホメオパシーなど、西洋系技術が幅広く利用されています。風邪の治療から骨折リハビリ、腰痛治療、体質改善と、普段の生活から意外に近いところに存在するこれらの医療技術について、概要とベルギーでの現状をご紹介します。

その1:キネジセラピー[Kinesitherapie(仏)/Kinesitherapie(蘭)]

[歴史] アメリカ生まれの補助医療術、キネジセラピーの歴史は比較的浅く、考案されたのは1946年のことです。第二次世界大戦中に負傷した兵士の術後の回復を早めるため、直接的、間接的なマッサージを行なうことによって身体の持つ自然治癒力を最大限に促進、活用するというのがその目的でした。


[療法] キネジセラピーのうち最も一般的なのは専用の器具、道具を利用したり、患部へのマッサージ、陸上での運動療法による治療法ですが、プールや海、温泉など水を利用した治療法もあります。


[効能] 考案から50余年、北米、ヨーロッパでは研究改良が進み、現在その利用範囲は整形外科の術後リハビリから心臓や呼吸器系疾患、出産準備と産後リハビリ、小児科での体質改善、骨格矯正、さらには精神科系医療の補助にまで広がっています。


[ベルギーでは] ベルギーはフィンランドと並び、ヨーロッパ内で人口一人当たりのキネジセラピストの最も多い国です。現在国内には約17,000人のセラピストが登録されており、個人やグループでキャビネ(診療所)を開業している場合と、病院や特殊施設内で施術している場合があります。3年間の養成学校を終了すると開業できますが、この場合医師免許はありません。整形外科などの医師が追加技能として勉強し、セラピーを行っている場合もあります。治療に際しては患者が自分の判断で出向くのではなく、担当の医師で受診し、医師から診断書、療法、治療回数の指定を受けて、初めて‘キネ’と対面するシステムです。ベルギー人のキネ利用率は高く、セラピストの中でも妊婦専門、小児専門、術後リハビリ専門など、専門化が進んでいます。国民医療保険は規定により治療費の還付を行ないますが、医師(患者)のキネジスト多・乱用が批判され、昨年から治療費還付認定の基準が厳しくなりました。

 

9.2003

 

 

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